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【2024年最新】不動産価格指数とは?定義や推移を解説

不動産価格指数は、国土交通省が毎月発表している不動産価格の動向を示す指標です。

不動産価格指数を確認すると、戸建住宅やマンション、土地の価格がどのように推移しているのかを知ることができるため、売買のタイミングを検討する際に役立ちます。

本記事では、不動産価格指数の基礎知識や他の指標との違い、直近の推移などを解説します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長 石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

不動産価格指数とは?定義や目的を解説

まずは不動産価格指数の定義や算出される目的、他の指標との違いを解説します。

国土交通省が発表する不動産価格の動向を示す指数

不動産価格指数は、国土交通省が全国の不動産価格の動向を示すために毎月公表している統計データです。約30万件の不動産取引価格情報をもとに算出されています。

不動産価格指数の種類は、住宅と商業用不動産の2種類です。

住宅はさらに「住宅地」「戸建住宅」「マンション(区分所有)」の3種類と、それらを総合的に指数化した「住宅総合」があります。

指数は、2010年1月から12月までの不動産価格の平均を100として算出されており、全国、ブロック別、都市圏別、都道府県別のデータが公表されています。

また、公表される指数は転勤や入学、就職などの季節的な要因による価格の変動を除く補正をした「季節調整値」であるため、より正確な価格動向を把握することが可能です。

最新の不動産価格指数は、国土交通省のホームページで閲覧できます。

不動産価格指数を算出する目的

不動産価格指数が作成される主な目的は、全国や地域ごとの不動産市場の動向を迅速に把握し、取り引きの透明性や活性化を図ることです。

不動産価格指数が算出・公表されるようになった背景には、2008年に発生した世界的な金融危機があります。

当時、米国のサブプライムローン問題を発端として住宅金融市場に混乱が生じました。
やがてその混乱は金融市場全体にまで広がり、大手投資銀行のリーマン・ブラザーズが経営破綻をしたことで世界的な金融危機に発展し、いわゆる「リーマンショック」が起きています。

この金融危機の発生と拡大をきっかけに、国際的な指針をもとに不動産価格の動向を迅速かつ的確に把握できる指標の必要性が世界各国で共通の認識となりました。

日本では、国土交通省の主導により、国際機関と各国の有識者が作成した国際指針をもとに、不動産価格指数(住宅)が開発され、2012年8月から試験運用が始まりました。

他の不動産価格評価指標との違い

不動産の価格を把握する指標には、不動産価格指数の他にも公示地価や路線価があります。

公示地価は、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を示したもので、不動産価格指数と同様に国土交通省が公表しています。

路線価は、相続税や贈与税の算定基準となる土地の評価額です。
道路に面した標準的な土地の1㎡あたりの価格であり、国税庁が毎年7月に公表しています。

公示地価と路線価は簡単にいえば土地価格の目安であるのに対し、不動産価格指数は価格ではなく、基準となる値と比べたときの指数である点が異なります。

また、公示地価と路線価が公表されるのは年に1回ですが、不動産価格指数は毎月公表されるため、よりタイムリーに不動産市場の動向を把握することが可能です。

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【2024年最新】不動産価格指数(住宅)の推移

国土交通省の発表によると、2024年(令和6年)7月分の不動産価格指数(住宅)は、以下のとおりです。

※出典:国土交通省「不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)

戸建住宅と住宅地は、2022年ごろから横ばいになっているのに対し、マンションについては2013年ごろから上昇が続いていることがわかります。

マンション価格の上昇に牽引され、住宅総合も全体的に上昇傾向にあります。

続いて、各区分の指数をみていきましょう。

住宅総合の不動産価格指数

2024年(令和6年)7月における住宅総合の不動産価格指数は以下のとおりです。

地域分類 不動産価格指数 対前月比(%)
全国 137.8 ▲0.4
ブロック別 北海道地方 152.6 0.9
東北地方 129.3 ▲1.7
関東地方 144.2 ▲0.4
北陸地方 122.4 8.3
中部地方 110.6 ▲1.1
近畿地方 138.9 ▲1.3
中国地方 122.2 ▲0.7
四国地方 110.9 ▲0.6
九州・沖縄地方 145.8 2
都市圏別 南関東圏 150 0.1
名古屋圏 117.1 ▲0.2
京阪神圏 143.2 ▲1.5
都道府県別 東京都 164 1.1
愛知県 123.8 2.5
大阪府 141.9 ▲2.7

※出典:国土交通省「不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)」

2024年(令和6年)7月の全国の不動産価格指数は「137.8」でした。つまり、2010年と比較して全体の住宅価格は約1.38倍に増えているということです。

ブロック別にみると、指数がもっとも高いのは北海道の152.6であり、九州・沖縄地方の145.8がそれに続きます。

住宅地の不動産価格指数

続いて、住宅地の不動産価格指数をご紹介します。結果は、以下のとおりです。

地域分類 不動産価格指数 対前月比(%)
全国 115 ▲0.3
ブロック別 北海道地方 119.6 ▲1.6
東北地方 122.2 ▲1.0
関東地方 121.5 2.1
北陸地方 112.1 8
中部地方 94.3 ▲3.7
近畿地方 113 ▲2.1
中国地方 108.3 4
四国地方 101.1 ▲4.8
九州・沖縄地方 127 6
都市圏別 南関東圏 128.4 1.3
名古屋圏 98.2 ▲2.1
京阪神圏 118.1 ▲3.3
都道府県別 東京都 139 2.2
愛知県 102.8 1.8
大阪府 120.3 ▲3.1

※出典:国土交通省「不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)」

2024年(令和6年)7月の全国の住宅地の不動産価格指数は「115」です。ブロック別にみると、九州・沖縄地方の127がもっとも高く、次いで東北地方の122.2が高い結果となりました。

一方、中部地方は94.3であり、2010年よりも住宅地の価格が低下しています。

戸建住宅の不動産価格指数

戸建住宅の不動産価格指数の結果は、以下のとおりです。

地域分類 不動産価格指数 対前月比(%)
全国 115.6 ▲3.0
ブロック別 北海道地方 122.1 ▲4.1
東北地方 118.4 ▲2.6
関東地方 117.4 ▲3.1
北陸地方 118.9 3.5
中部地方 103.6 0
近畿地方 118.4 ▲2.7
中国地方 111.3 ▲3.8
四国地方 102.7 0.6
九州・沖縄地方 119.6 4.5
都市圏別 南関東圏 122.8 ▲1.4
名古屋圏 111.8 0.7
京阪神圏 121.5 ▲3.8
都道府県別 東京都 132.6 0.1
愛知県 116 3.3
大阪府 116 ▲3.1

※出典:国土交通省「不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)」

2024年(令和6年)7月の全国の戸建住宅の指数は「115.6」であり、住宅地と同水準となりました。一方、ブロック別では北海道地方の122.1がもっとも高く、九州・沖縄地方の119.6がそれに続きます。

マンションの不動産価格指数

最後に、マンションの不動産価格指数をご紹介します。

地域分類 不動産価格指数 対前月比(%)
全国 202.2 0.5
ブロック別 北海道地方 291.2 3.7
東北地方 220.7 ▲1.0
関東地方 195.5 ▲0.3
北陸地方 188.9 8.2
中部地方 204 6.8
近畿地方 205.6 1.7
中国地方 225.6 3.4
四国地方 207.7 0.9
九州・沖縄地方 259.4 0.2
都市圏別 南関東圏 196.3 ▲0.3
名古屋圏 190.1 2.6
京阪神圏 203.8 0.9
都道府県別 東京都 204 ▲0.1
愛知県 195.2 4.5
大阪府 197.6 ▲2.2

※出典:国土交通省「不動産価格指数(令和6年7月・令和6年第2四半期分)」

2024年(令和6年)7月の全国のマンションの不動産価格指数は「202.2」であり、2010年と比較して価格が2倍以上になっています。

ブロック別では、北海道地方の指数が291.2と高く、九州・沖縄地方も259.4であり、戸建住宅や住宅地と比較してマンション価格は全国的に上昇が著しいといえます。

不動産価格指数が上昇傾向にある理由

不動産価格指数が上昇傾向にある主な理由は以下の3つであると考えられます。

  • 低金利な住宅ローン
  • 原材料価格の高騰
  • 新築マンション供給戸数の減少

低金利な住宅ローン

2016年1月に導入された「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」という金融政策の影響により、近年の住宅ローン金利は歴史的な低水準が続いています。

低金利により、住宅ローンの返済負担が軽減され、より多くの人が住宅を購入しやすくなりました。そのため、住宅需要が増加して価格が上がり、不動産価格指数が上昇したと考えられます。

2024年2月にはマイナス金利政策が解除され、同年7月には追加の利上げが行われました。
その影響により、2024年10月から各金融機関が変動金利を引き上げています。

とはいえ、住宅ローン金利は歴史的に見れば依然として低水準であり、引き続きマイホームの需要を下支えしている状況です。

原材料価格の高騰

近年は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大とロシア・ウクライナ情勢などによって原材料価格が高騰しており、建築資材の価格も上昇が続いています。

一般財団法人建設物価調査会の「建築資材物価指数」によると、2024年10月の建築部門での建築資材費用は、2015年の約1.38倍に増加しました。

※出典:一般財団法人建設物価調査会「建築資材物価指数

建築資材価格の上昇に加え、人手不足による人件費の増加も重なり、住宅の販売価格が高くなり、不動産価格指数の上昇につながったとみられます。

新築マンション供給戸数の減少

新築マンションは高い需要がある一方で、供給戸数は減少傾向にあります。

株式会社不動産経済研究所の調査によると、2023年における全国の新築マンションの供給戸数(発売戸数)は65,062戸で、前年に比べると10.8%も減少しました。

一方、新築マンションの平均価格は5,910万円(15.4%増)、㎡単価は92.0万円(16.0%増)と記録的な高値を更新しています。

※出典:株式会社不動産経済研究所「全国 新築分譲マンション市場動向2023年

資材価格や人件費の上昇に加えて、新築マンションの供給も不足していることで、販売価格が高くなり、それにともなって不動産価格指数が上昇しているといえます。

【まとめ】住宅の購入時は不動産価格指数も参考にしよう

不動産価格指数の住宅総合は、2010年と比較して約1.38倍に上昇しました。とくにマンション価格の上昇が顕著であり、2010年と比較して2倍以上となっています。

不動産価格指数を確認することで、戸建住宅やマンション、住宅地の価格の動向を把握することができます。

全国だけでなくエリアごとの指数も毎月公表されているため、住宅を売却するタイミングを検討する際は、不動産価格指数も参考にするとよいでしょう。
(執筆者:品木 彰)

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