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【すまい給付金がもらえなかった!なぜ?】受給できないケースとその他の補助金を解説

「すまい給付金をもらえないケースはあるのだろうか?」

すまい給付金を受給できると、住宅購入時の金銭的な負担を軽減できます。
給付金を受給するためには、所定の要件を満たす必要があります。
そのため、要件を満たせずに「すまい給付金がもらえなかった」と、後悔する人もいらっしゃるのです。

今回は、すまい給付金を受給できないケースを、具体的に解説していきます。

遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)


宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級

すまい給付金とは?

すまい給付金

すまい給付金とは、住宅を購入した人が所定の条件を満たしている場合に、給付金が支給される制度です。

住宅購入時の金銭的な負担を軽減する制度として「住宅ローン控除(減税)」があります。
住宅ローン控除は、年末時点の借入残高の1%に相当する金額が、借入れた人の所得税から控除される制度です。

年間の所得が低いほど、所得税額は少なくなります。
そのため所得が一定以下の場合、税額が控除額を下回ってしまい、住宅ローン控除の節税効果を受けにくくなるのです。

そこで住宅ローン控除の効果が限定的である世帯の、住宅を購入したときの金銭的な負担を抑えるために、すまい給付金制度は設けられました。

すまい給付金の給付額

すまい給付金は、住宅に適用される消費税率によって最大給付額や制度の対象となる所得の目安が異なります。

住宅に適用される消費税 最大給付額 対象となる年収の目安
8% 30万円 510万円以下
10% 50万円 775万円以下

※年収の目安は、夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子どもが2人である世帯の場合

すまい給付金の受給額は、都道府県民税の所得割額をもとに決まります。

所得割額は、課税の対象となる所得に税率をかけて計算されます。
課税対象の所得とは、年収から「給与所得控除」や「基礎控除」などを差し引いた値です。
※会社員や公務員などの給与所得者の場合

所得割額を計算するときの税率は、以下のようにお住まいのエリアによって変わります。

  • 政令指定都市:2%
  • 政令指定都市以外:4%

※平成30年度以降の税率

また、都道府県民税の所得割額が低くなるほど、すまい給付金の支給額は増えていきます。

例えば、住宅ローンを利用し、政令指定都市で消費税10%が適用される住宅を購入するとしましょう。
すまい給付金を50万円受給するためには、都道府県民税額が3.445万円以下であることが条件です。
※神奈川県のみ、他の都道府県と住民税率が異なるため3.489万円

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すまい給付金がもらえないケース

すまい給付金

ここでは、すまい給付金がもらえなかった具体的な事例をご紹介していきます。

①期限内に申請していない

購入した住宅の鍵を受領してから1年3か月以内に、必要書類を申込み窓口に持参または郵送をしなければ、すまい給付金を受給できません。

すまい給付金は、住宅が引渡されてから1年3か月以内に申請しなければなりません。
※本来の申請期限は引き渡し後1年ですが、当面の間1年3か月に延長されています。

期限まで時間があると考えていると、申請を失念してしまう恐れがあります。
すまい給付金を受給する場合は、住宅が引渡されたあと、速やかに申請をしましょう。

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②収入が一定以上ある

消費税10%が適用される住宅を購入するとき、年収が約775万円以上あれば、すまい給付金の支給対象ではありません。
※夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子どもが2人である世帯の場合

すまい給付金を受給できるのは、住宅を購入した人の年収が一定以下のケースである場合です。
また、年収が約775万円以下であっても、単身世帯や夫婦共働き世帯は、すまい給付金を受給できない可能性があります。

③住宅ローンを利用せず、年齢や収入の条件を満たしていない

現金で住宅を購入した場合、引渡された年の12月31日時点における年齢が50歳以上でなければ、すまい給付金を申請できません。

また消費税10%が適用される住宅を現金で購入する場合、650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.3万円以下)という収入の要件を満たす必要があります。

④住宅の床面積が50㎡に満たない

すまい給付金を受給するためには、新築・中古にかかわらず購入する住宅の床面積が50㎡以上でなければなりません。
不動産登記上の床面積が50㎡に満たない住宅を購入した場合、すまい給付金の支給対象外となります。

単身世帯やDINKs世帯(子どものいない夫婦共働き世帯)など、小規模住宅の購入を検討している世帯は、事前に購入予定の住宅の床面積を入念に確認しましょう。

すまい給付金制度の改正で床面積要件が緩和!(条件あり)

2021年(令和3年)1月に、すまい給付金制度の改正が決定しました。
この決定により、指定期間に契約した場合に限り「床面積要件の緩和」と「引渡し・入居期限の延長」が認められます。

  • 注文住宅の新築:2020年(令和2年)10月1日から2021年(令和3年)9月30日まで
  • 分譲住宅・中古住宅:2020年(令和2年)12月1日から2021年(令和3年)11月30日まで
上記期間で契約した方は、住宅の床面積要件が「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和されます。
上記期間で契約した方は引渡し・入居期限が「2021年(令和3年)12月31日」から「2022年(令和4年)12月31日」に延長されます。

新築住宅の場合

新築住宅を購入しても、すまい給付金を受給できない事例についてご紹介します。

⑤施工中に第三者の現場検査を受けていない

新築住宅を購入する場合、施工中に第三者による現場検査を受けていなければ、すまい給付金の受給対象外です。
現場検査受検後、以下1〜3のいずれかの要件を満たしていれば、すまい給付金を受給できます。

  1. 住宅瑕疵担保責任保険(建設業許可を有さないものが加入する住宅瑕疵担保責任任意保険を含む)へ加入した住宅
  2. 建設住宅性能表示を利用する住宅
  3. 住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅

※出典:国土交通省「すまい給付金」

よって上記の1〜3のいずれにも該当しない場合は、すまい給付金を受給できません。

⑥住宅ローンを利用せず、かつ必要な条件を満たしていない

住宅ローンを利用せずに新築住宅を購入する場合、住宅がフラット35Sと同等の基準を満たす必要があります。

フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が共同で提供する、長期固定金利の住宅ローンです。
フラット35Sとは、フラット35の建物条件を満たした上で、耐震性や省エネ性などが一定以上の住宅を購入した場合に、金利が一定期間引下げられる制度です。

現金で新築住宅を購入しても、フラット35Sの基準である以下1〜4のいずれかに該当しなければ、すまい給付金を受給できません。

  1. 耐震性に優れた住宅(耐震等級2以上の住宅または免震建築物)
  2. 省エネルギー性に優れた住宅(一次エネルギー消費量等級4以上または断熱等性能等級4)
  3. バリアフリー性に優れた住宅(高齢者等配慮対策等級3以上)
  4. 耐久性・可変性に優れた住宅(劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2等)

※出典:国土交通省「すまい給付金」
※2020年12月時点の基準

中古住宅の場合

中古住宅の購入で、すまい給付金を受給できないケースは以下の通りです。

⑦売主が個人の場合

中古住宅の売主が個人である場合、その他の要件を満たしていても、すまい給付金は受給できません。

すまい給付金を受給できるのは、売主が宅地建物取引業免許を有する不動産会社であるときです。

⑧売買時等に第三者の現場検査を受けていない

中古住宅の購入時に、第三者の現場検査を受けていなければ、すまい給付金を受給できません。
現場検査受検に加え、以下の1~4のいずれかに該当する必要があります。

  1. 既存住宅売買瑕疵保険に加入している住宅
  2. 既存住宅性能表示制度(「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」が1以上のものに限る)を利用している住宅
  3. 新築後10年以内であって住宅瑕疵担保責任保険に加入している住宅(建設業許可を有さないものが加入する住宅瑕疵担保責任任意保険を含む)
  4. 新築後10年以内であって建設住宅性能表示制度を利用している住宅

申請時に、上記要件のいずれかに該当していることを証明する書類を提出できなければ、すまい給付金の支給対象外となります。

住宅購入時に利用できる補助金・減税制度

すまい給付金

すまい給付金や住宅ローン控除以外にも、住宅の購入時に利用できる補助金や減税制度があります。

制度の名称 内容
補助金 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金 ZEHを新築・購入した人や、所有する住宅をZEHへと改修した場合に支給される補助金
地域型住宅グリーン化事業 認定長期優良住宅や、低炭素住宅などの環境性能に優れた木造住宅を新築・購入する人に支給される補助金
エネファーム設置補助金 家庭用燃料電池システムであるエネファームを住宅に導入した場合の補助金
自治体独自の補助金制度 自治体によっては所定の条件を満たす住宅を取得した場合に補助金が支給され
減税制度 登録免許税の軽減措置 登記をする際に支払う登録免許税の計算時に軽減税率が適用される
不動産取得税の軽減措置 不動産を取得したときに支払う不動産取得税の計算時に軽減税率が適用される
固定資産税・都市計画税の軽減措置 取得した土地の上に居住用の建物が建っている場合、固定資産税や都市計画税が減額される

住宅は高額な買い物なので、補助金や減税制度をできる限り利用して、金銭的な負担を減らすと良いでしょう。

補助金・減税制度の詳細な内容や条件については、こちらの記事をご確認ください。

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まとめ

すまい給付金を受給するためには、「収入が一定以下」「住宅の床面積が50㎡」などの要件を満たした上で、期限内に申請が必要です。

また、新築住宅の施工中や中古住宅の売買時に、所定の検査が実施されていなければ、すまい給付金を受給できません。

すまい給付金の受給要件は複雑です。
制度の利用を予定している方は、不動産会社に相談し、要件や申請方法を入念に確認しておきましょう。
(執筆者:品木彰)

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