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無垢木材と暮らす。見て、触れて、感じるマルホンの「体感型」ショールーム

美しい木目、心地よい肌ざわり、心落ち着く香り。
自宅で過ごす時間が増えている今、住まいの「癒しの場」としての役割は、ますます大きくなっています。
中でも天然の無垢木材は、五感に与えるヒーリーング効果の高さから、家づくりで注目を集める内装材です。でも実際のところは、無垢木材ってよくわからない」「手入れが大変そうと、無垢木材についての知識があやふやという方も多いと思いのではないでしょうか。
そこで今回は、浜松に本社を置く株式会社マルホンを訪ね、無垢フローリング材、無垢木材の魅力や、種類、お手入れの方法について教えていただきました。

無垢木材って何ですか?

そもそも、無垢木材とはどういうものなんでしょうか。

「無垢」と聞けば、なんとなく「天然素材」「身体に良さそう」というイメージは浮かんできます。
無垢以外のフローリング材も素材は木。同じ木材でも何が違うのか、確認しておきましょう。

  • 無垢フローリング材は、厚み方向に貼り合わせのない、一枚の板からできた床材のこと。
  • 複合フローリング材は、薄い合板を何枚か貼り合わせた表面に、薄い天然木や木目調のシートを貼り付けた床材のこと。

それぞれの特徴

無垢フローリング材

  • 触れた時に温かみがある
  • 木そのものの質感を楽しめる
  • 調湿作用がある
  • 経年変化を楽しめる
  • 足触りがやさしく弾力がある
複合フローリング材

  • 無垢木材に比べて安価である
  • 寸法安定性がある
  • お手入れが簡単
  • 色むらや個体差が少なく均一な表情
  • 接着剤を使用している。

無垢木材の「癒し」効果

無垢木材がもたらす効果として特に注目したいのは、「癒し」の効果です。
五感で感じるヒーリング効果とは、どのようなものでしょうか?

目で感じる癒し

天然の木は、年輪の間隔に「1/fのゆらぎ」と呼ばれる自然のリズムがあり、小川のせせらぎや波の音、焚火の炎のように、人が心地よいと感じるヒーリング効果をもたらすと言われています。
また紫外線を適度に吸収する効果があり、光の反射率が低いため、目にも優しく眩しさも和らぎます。

香りで感じる癒し

森の中で森林浴をすると、心地よい爽快感に包まれます。これは、樹木が発散する精油成分「フィトンチッド」によるもの。
フィトンチッドには、高い殺菌効果のほか、精神を安定させる効果や、ストレスホルモンを減少する効果などがあると言われています。無垢木材でもその効果は持続し、木が発する芳香と共に、深いリラクゼーション効果が得られます。

肌で感じる癒し

無垢の木は、空気を含んだパイプ状の細胞壁がそのまま残っているため、弾力性が生まれ足腰に優しい踏み応えを感じることができます。
また空気の層があることによって、湿度を調節したり、足の油を吸収したりすることで、夏でもさらさらと心地良い肌ざわりを楽しめます。
さらに、空気の層があることで熱伝導率が低い無垢材は、床に触れた時に足の体温を奪わず、ぬくもりを感じさせてくれます。

こだわりの無垢木材メーカー 株式会社マルホン

浜松市は古くから林業や木材加工が盛んな地域。天竜美林は、奈良県の吉野、三重県の尾鷲と並んで「日本三大人工美林」に数えられています。
ここ浜松で、無垢フローリング材、無垢木材、無垢内装材を取り扱うのが株式会社マルホン。無垢木材の真価を追求する木のプロフェッショナルです。触れる場所、見える場所で使う内装材を専門に扱うメーカーとして、デザイン性と実用性を兼ね備えた木材を国内を含む世界約30カ国から厳選しています。
マルホンのこだわりは、品質はもちろん、調達プロセスまで徹底した木材の「信頼性」。商社を介さず、直接現地で確認することで、品質や森林環境、流通経路、合法性が保証された、人にも環境にも優しい木材を調達しています。

総面積600平米! 木材「体感型」ショールーム

 

マルホンの無垢木材へのこだわりを余すことなく体感できるのが、浜松・東京・大阪・福岡に開設されたショールーム。

「本物の木に触れる機会がない方をできるだけ少なくしたい」

という作り手の情熱が詰まった浜松のショールームは、総面積600平米の広さを誇り、フローリングやパネリングだけでも350アイテム以上完全予約制専門スタッフによる説明を受けながら、安心してゆっくり木材を体感することができます。

 

住まいは長いスパンで付き合うもの。後悔しない家づくりをするためには、木の良さを知ることが大切です。
無垢木材の快適さ、用途によって向き不向き、木の個性を知るには、まずはショールームに行ってみましょう!

入口のギャラリースペースには、大型無垢一枚板や、世界中の木材原産国で撮影された写真、アンティークの製材道具が展示されていて、まるで美術館のよう。期待で胸が高まります。

足の裏で感じる

中に一歩足を踏み入れると、そこはもはや木の博物館。そして浜松のショールームの醍醐味は、なんといっても大きな敷き込みサンプル。裸足になってフローリングの上を歩くと、木材の色や体感温度、厚み、木目の表情を足裏でしっかり感じることができます。

温かみの違いを体感

素足で歩いてみると、まず体感温度の違いに驚かされます。木によって熱伝導率が違い、肌に感じる木の温度はかなり違ってきます。
中でも、空気の穴が大きく、やわらかい桐などは、暖かく感じる木材。その一方で、キズがつき易いという側面もあるので、キズの付き方もしっかりチェックしてみましょう。

加工による違いを体感

ひとつのサンプルが一畳分の広さで展示されているので、通常の商品サンプルでは掴み切れない実際の雰囲気が良くわかります。同じ木材でも表面加工や塗装、組み方、幅で表情が変わることを実感できるので、お部屋のイメージがしやすくなります。
また、なぐり加工が施されたフローリングなど、足裏と密着する面積が増えることによって、木の厚みの感じ方が変わる様子を体感できるのも、ショールームならでは。

経年変化を体感

展示サンプルの良さは、経年によって自然な艶が出て、色味が深まった状態を確認できること。新品サンプルと比較することで、変化を想定して木材を選ぶことができます。

 

「ここでは皆さん、素足で歩くだけでなく、ゴロンと寝転んでみたり、小さなお子様は走り回ったり、自由に体験していただけます」

ウォールナット、メイプル、アッシュ、ローズウッド、ナラ、オーク、パイン、クリ、スギ、キリ、、硬さや色、木目など、それぞれに豊かな表情を見せてくれる無垢木材は、同じ樹種でも産地によって見た目も性質も異なります。
私たちは何を基準に選べばいいのでしょうか?

「家は長く住まうもの。木を選ぶ時は、子育て期などの一過性のライフスタイルに合わせるのではなく、お客様の生活スタイルや空間イメージ、住まいのしつらえに合わせて選ぶことをおススメしています」

インテリアの好みや家のしつらいがわかるものを持参すると、相談もスムーズに運びそうですね!

塗装の違いを確かめる

直接身体に触れる内装材では、塗装選びがとても大切です。
塗料には、大きく分けてオイルやワックスの浸透性塗料、ウレタン塗装のコーティング系塗料、ガラス塗装などの高機能塗料の3種類があり、さらに草木染ワイピングベンガラによる塗装など種類もさまざま。

ショールームでは、試し塗りや汚染テストを体験しながら、塗装を学べる塗装ラボを開設。どれを選ぶかによって仕上がり感やその後のメンテナンス方法が異なります。用途や目的、ライフスタイルに合わせて何を選べば良いか教えてもらいましょう。

汚染テスト

お酢、ウイスキー、シンナー、イソジン、マジック、クレヨン、生ゴミから出た水分。フローリング材に付着する汚れもさまざまです。ラボでは、汚れが付着してから6時間後にアルコールで拭いたもの、サンドペーパーで汚れを落としたものなどを比較することができます。

無垢でもウレタン塗装にすると、汚れが染みないのでお手入れが楽で便利です。でもせっかくの天然素材にプラスチックの加工を施すのは、無垢の木ならではの空気の層を塞いでしまうので少し残念な気もします。

とことん「ピュア」にこだわった オリジナル自然塗料「Arbor(アーバー)」

無垢フローリング材を使うなら、その特性を損なうことなく、安心・安全な塗料を使いたいところ。
マルホンでは、無垢木材の特性に合わせたオリジナル塗料を開発。ラボで試し塗りを体験することができます。

左:色の濃い木にはえごまオイルを主成分にした「Arbor(アーバー)植物オイル」で自然なツヤを。
右:白木には天然の日焼け止め成分を配合したArbor針葉樹白木用オイルワックスで白木の美しさをそのままに。

どちらも主成分が自然由来のもので構成されているため、安全性が高い塗料です。

「Arborのオイルは、誤って口に入ってしまっても安心な植物性。嫌な臭いもなく、触り心地もサラサラしています。木目を美しく際立たせ、表面を保護する働きがあります。
時々、植物オイルならなんでもいいと勘違いして、サラダ油やオリーブ油を塗ってしまったという話を耳にします。サラダ油やオリーブ油は非乾性油。時間が経ってもベタベタしたまま乾かないので塗らないように注意してくださいね」

ツヤ加工で光の反射を見る

プレーンな表面加工でも、ツヤの出し方に種類があります。
オイルやワックスで仕上げたフローリング材は、木目の表情がしっかり伝わる自然なツヤ。
一方、ウレタン塗装による鏡面加工は光の反射や映り込みによって、木目が見えにくく、目が疲れてしまう場合もあります。

リラックスしたいリビングにはオイル仕上げ、水周りにはウレタン加工など、用途にあわせて表面加工を選ぶことも大切です。

 

木の個性を楽しむ

日本のスギ・ヒノキは、昔から節が一切ない木材を最高級のグレードとして取引きされてきましたが、近年では輸入木材を中心に、節を「遊び心ある個性」として楽しむようになってきました。
住まいのしつらい、施主の好みによって、自由な発想で木を選んでみましょう。

無垢材を乾燥させた時に発生するひびも、天然素材ならではの個性。
一枚板の無垢材で作るテーブルなどには、その個性がより重要になってきます。
マルホンでは、ひびの広がりを抑えるための「千切り(ちぎり)」と呼ばれる技法にも、遊び心いっぱいのくさびを提案。割れた陶器を漆で補修する「金継ぎ」のように、ひびやつなぎ目を「景色」として楽しんでしまう美意識とセンスが光ります。

 

無垢木材は床暖房に使えるの?

 

床暖房には使えないのでは?と思われがちな無垢材。
マルホンでは、温度と湿度による寸法変化を最小限にする特殊加工を施した床材を開発。大手ガスメーカーの試験にパスしたものだけを床暖房対応製品として販売しています。ショールームでは、床暖房の上に施工した無垢材が、温度や湿度でどのように変化するのか、実際に確認することができます。

「木材は湿度が高いと膨張し、乾燥すると縮む性質があります。冬は乾燥によってフローリングの隙間が広がり、夏は逆に膨張して隙間が埋まります。どの程度の隙間なら許容できるか、実際に目にすることで安心につながります」

無垢木材との付き合い方

無垢木材は手入れが大変だというイメージがあります。
確かに水に弱く、柔らかい木では、傷がつきやすいという特徴がありますが、手入れが大変というのはちょっと誤解がありそうです。

普段の手入れは乾拭きが基本。ちょっとした汚れは揮発性の高い無水エタノールを付けた布でさっと拭けば大丈夫です。
では、油性のマジックによる汚れや、物を落として凹んでしまった傷跡などは、どうすればいいのでしょうか?

汚れは拭いてダメなら削ってOK!

  1. 軽い汚れと同様、まずは無水エタノールで拭いてみましょう。これで頑固な油性マジックでも案外きれいに取れてしまいます。
  2. それでもダメな場合はサンドペーパーを使って表面を削っていきましょう。コツは、一点集中で削らず、汚れの周りも一緒に削りましょう。
  3. 布に少量の塗料を付けて、表面の塗装が剥がれた部分に塗りましょう。
  4. 乾いたきれいな布で表面に残った塗料をべたつきがなくなるまで拭き取りましょう。
無水エタノールを付けた布で汚れを拭き取る。
180番のサンドペーパーを使い、汚れを落とす。
240〜320番のサンドペーパーで仕上げ、乾拭きで木屑を取り除く。
塗装が取れた状態は、汚れが付くやすく、落ちにくい状態。
必ずオイルで仕上げるようにする。
オイルを塗り、余分なオイルを拭き取るだけで、表面はさらさらに。その後、12時間〜24時間かけて自然乾燥させる。

無垢木材の自然の力で凹みが蘇る⁉︎

スマートフォンの落下や子どものおもちゃによるフローリングの傷や凹みを見つけると、気分まで沈んでしまいます。
複合型フローリングの場合は、補修材で傷を目立たなくするほかありません。

ところが無垢木材は、押しつぶされた細胞壁を蒸気によってある程度蘇らせることができます。
特にスギパインのような柔らかい木に効果的ですので、ぜひチャレンジしてみてください。
なお、硬い木に関しては凹みにくい代わりに戻りにくい特性があるので注意して下さい。(ウレタン加工には不可)

  1. 凹んだ箇所にスポイトで水滴を垂らします。小さな凹みであれば、このまま時間が経てば、自然と元に戻ります。
  2. 自然に戻らない凹みは、蒸気を使って元に戻しましょう。凹みにウエスを充て、その上からさらに水を垂らします。
  3. 布の上からアイロンを当て、蒸気で凹みを修復させます。
  4. 水分によって、塗装が剥がれ、木の表面が毛羽立ってしまいます。完全に乾燥したら、サンドペーパーで軽くこすり、表面を整えます。
  5. 塗料を塗り、余分な塗料を拭き取ってから自然乾燥させます。
    スポイトで直接凹みにお水を垂らします。
    これだけで元に戻ればラッキーですね。
    アイロンを使う場合は必ず当て布をしましょう。
アイロンで凹み傷に蒸気をあてます。時々様子を見ながら根気よくやってみましょう。
最後は必ず塗料で仕上げてください。

汚れや傷の補修は、無垢フローリング材だからできること。
ここに来れば、「無垢は手入れが大変」という考え方から、「無垢は手入れが自分でできて楽しい」に変わるかもしれません。
そう思えた人は、無垢木材との相性がぴったりということですね。

自然素材の良さ、手をかける楽しさを知ってほしい

 

無垢木材を楽しむには、ちょっとしたやる気が必要なのは事実だそうです。ただそれは、「面倒なもの」「大変なもの」というわけではありません。

「合成皮は時間が経てば経年劣化してしまいますが、本皮製品は、時間とともにツヤが出て、“味”になる。手をかけるから愛着が生まれるのです。木も革製品やガーデニングのように、手入れをしながら経年変化を楽しんでほしいですね」

木とともに暮らし、木とともに年を重ねる。長く付き合う中で育まれた愛着こそが、住まいを「癒しの空間」に変えてくれるのかもしれません。

株式会社マルホン https://www.mokuzai.com/

浜松ショールーム
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