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任意売却とは?流れや売却可能な期間、メリットを解説!

  • 2020.09.18
  • 2023.07.07
  • 売る

「住宅ローンの支払いができない」
「ローン返済が滞っている…」

家庭の経済事情が変わり、住宅ローンの返済が難しくなるケースもあるでしょう。
しかし基本的には、住宅ローンの残っている家は売却できません。

そこで検討したいのが「任意売却」です。

任意売却とは、どのようは方法なのでしょうか?
この記事では任意売却の流れやメリット、注意点を解説します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長
石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

任意売却とは?

任意売却とは「数か月住宅ローンの滞納が続いている」という場合に、債権者(金融機関等)の合意を得て、住宅ローンの残っている不動産を売却する方法です。

ローンが払えなくなった住宅を売却する方法には「任意売却」と「競売」の2つがあります。

任意売却と競売の違い

任意売却が自分の意志で売却を進められるのに対して、競売では強制的に売却が進みます。

ローン返済が滞ると、債権者は裁判所を通じて担保となっている住宅を差し押さえます。
差し押さえられた住宅は「競売」という形で強制的に売却されます。

競売には「売却価格が安くなる」「多くの残債が残る」「強制退去の可能性がある」など、住宅の所有者にとって多くのデメリットがあります。
競売を避けるためにも、まずは任意売却の流れを確認しましょう。

任意売却の流れ

任意売却は次のステップで進みます。

  1. 不動産会社の選定
  2. 不動産会社と打合せ・不動産査定
  3. 不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
  4. 債権者へ連絡(任意売却の交渉・同意)
  5. 販売活動を開始
  6. 買主と売買契約を結ぶ
  7. 残債務支払い方法の交渉
  8. 決済・物件の引渡し

それぞれのステップを詳しく解説します。

1.不動産会社の選定

通常の不動産売却と異なり、任意売却では債権者(金融機関等)と交渉して同意を得る必要があります。
債権者との交渉は不動産会社が行います。
そのため任意売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。

2.不動産会社と打合せ・不動産査定

まずは「住宅ローンの滞納状況や残債が、どの程度あるのか」を不動産会社に伝えます。
不動産会社は状況をヒアリングして、売却方法やスケジュールを検討します。
同時に不動産査定を行い、販売価格を見積もります。

3.不動産会社と専任媒介契約を結ぶ

売主は販売価格やスケジュールに納得できたら、不動産会社と媒介契約を結びます。

媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
任意売却の場合、1つの不動産会社のみに依頼をする「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」のどちらかを結びます。

4.債権者へ連絡(任意売却の交渉・同意)

任意売却ではローン残債がある状態で、抵当権の抹消が必要です。
不動産会社は債権者と交渉し、抵当権の抹消と任意売却の同意を得ます。

また任意売却では、物件の販売価格を決定するのは債権者です。
査定価格をもとに不動産会社が債権者と交渉して、販売価格が決まります。

5.売却活動を開始

債権者から任意売却の同意をもらい、販売価格が決定したら売却活動を始めます。
売却活動は一般的な流れと同じです。
購入希望者が現れたら内部見学の準備をするなど、売主も通常の売却活動と同じように対応します。

6.買主と売買契約を結ぶ

買主が見つかったら売買契約の準備をします。
不動産会社が債権者に購入申込書と売買代金配分表を提出し、債権者の合意が得られてから売買契約を締結します。

7.残債務支払い方法の交渉

売却額でローンを完済できない場合は、任意売却後もローンの支払いが続きます。
しかし経済状況を考えると、これまでと同じ返済プランを続けるのは難しいでしょう。
不動産会社とともに返済計画を見直し、現実的な返済方法を債権者と交渉します。

8.決済・引越し・物件の引渡し

売買契約締結後、1か月以内を目安に決済を進めます。
決済と同時に売却代金でローン残債を返済し、差し押さえの取り下げ、抵当権の抹消登記、所有権の移転登記などの手続きを行います。
引越しは物件の引渡し日までに終わらせましょう。

任意売却ができる期間はいつまで?

任意売却には売却までの期限があります。
詳しくみていきましょう。

任意売却のタイムリミット

任意売却のタイムリミットは、競売当日です。
競売が始まるまでに任意売却の手続きを済ませて、買主を見つける必要があります。

競売までの流れは以下のとおりです。

ローンの滞納期間 競売までの流れ
1か月~ 金融機関から督促状が届く
6か月~ 期限の利益喪失
(ローンを分割で返済する権利が失われる)
8か月~ 裁判所から「差し押さえ通知」が届く
9か月~ 裁判所から「競売開始決定通知書」が届く
10か月~ 裁判所執行官による現況調査
13か月~ 裁判所から「競売の期間入札通知書」が届く

競売の期間入札通知書には、入札の開始日が記載されています。
入札の開始日が任意売却のタイムリミットです。

任意売却はいつ始めるべき?

任意売却は「ローン返済の滞納」があって、初めて実行できます。
滞納してない場合、返済が苦しい状況でも任意売却はできません。

ローン返済の滞納が続き「期限の利益失効」となったタイミングで債権者に任意売却を申し出ましょう。
このタイミングであれば競売申し立てまでに3~6か月間の売却期間が設けられるケースもあります。

任意売却をスムーズに進めるためには、早めに不動産会社に相談することが大切です。

任意売却のメリット

ここからは任意売却のメリットについて解説します。

競売よりも高く売れる

任意売却では、競売よりも市場価格に近い金額で売却できる可能性があります。

一般的に不動産の競売では、市場価格の50~70%で売却します。
競売物件は「内部見学ができない」「検討時間が短い」「物件の欠陥は買受人が対応する」など、買主にとって不利な条件で売り出されるため、販売価格も安くなってしまうのです。

それに対して任意売却は、通常の不動産と同じような売却活動を行うため、市場価格に近い金額で売却を進められるでしょう。
ただし販売期間は短くなるので、査定価格よりも低い金額で売却するケースもあります。

計画的に売却を進められる

競売は売却価格、売却先、売却のタイミングなど全て裁判所が決定します。
買受人が決まった際には、強制退去を命じられることもあります。

任意売却では売却価格は債権者に決定権があるものの、交渉の余地があるため市場価格に近い金額を設定できる可能性が高いでしょう。
また売却活動も不動産会社が仲介するので、引渡しの時期を検討しながら計画的に進められます。

費用の持ち出しが不要

不動産売却では仲介手数料などの諸経費が発生します。
任意売却でも諸経費はかかりますが、売却代金から支払うことが可能なので費用の持ち出しがありません。
また債権者との交渉が必要ですが、税金や管理費などの滞納分を売却代金で精算でき、引越し費用も売却代金から捻出できる場合もあります。

競売の場合、引越し費用や税金・管理費の滞納分は、自身で用意します。

プライバシーが守られる

競売物件になると、裁判所のホームページや新聞などに自宅の情報が掲載されます。
そのためローンを滞納していることが、周囲に知られる可能性も高いでしょう。
任意売却であれば一般的な売却活動と同じなので、売主の経済事情が知られることはありません。

任意売却の注意点

ローン返済が難しい方にとって多くのメリットがある任意売却ですが、注意点もあります。
任意売却の注意点を確認して、スムーズな売却を進めましょう。

債権者の同意が得られない可能性がある

任意売却は債権者の同意が必要です。
住宅の査定金額がローン残債よりも大幅に少ない場合や、販売価格と市場価格に大きな開きがある場合などは、債権者の同意が得られず任意売却ができないこともあります。

信用情報機関に登録される可能性がある

住宅ローンを3か月以上滞納すると、信用情報機関に登録される可能性があります。
信用情報機関で遅滞記録がつくと、7年前後は借入やクレジットカードの作成が難しくなるでしょう。

連帯保証人の同意が必要

任意売却では住宅ローンの連帯保証人の同意が必要です。
連帯保証人と連絡が取れない、同意が得られない、という場合は任意売却ができません。

買主が見つからなければ競売に

任意売却には期限があります。
競売当日までに買主が見つからない場合は、強制的に競売が始まります。
スムーズな売却を進めるためには、購入者の希望に合わせて売却価格の値下げを債権者と交渉するなど不動産会社の動きが重要です。

まとめ

住宅ローンの返済ができなくなった場合、自宅が競売にかけられる前に任意売却を検討しましょう。
強制的に売却が進む競売と異なり、任意売却は売主の意志で計画的に売却を進められます。
売却価格も市場価格に近く、売主にとってはメリットが大きいでしょう。

ただし任意売却には債権者の同意が必要です。
債権者との交渉をスムーズに進めるためにも、任意売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶことが大切です。
(執筆者:戸塚ナオ)

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