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住宅ローン控除で住民税も安くなる?上限額や手続き方法を解説

住宅ローン控除は、住宅ローンの借入れを行なった際に利用できる制度です。
通常所得税から控除されますが、場合によっては住民税から控除を受けられることもあります。
この記事では住宅ローン控除の概要と、住民税が安くなるケースについて解説していきます。

遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)


宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級

住宅ローン控除とは?

住住宅ローン控除 住民税

住宅ローン控除は、住宅ローンの借入金額や居住年月に応じ、年末時点でのローン残高の一部の額を所得税・住民税から控除する税制優遇制度です。
取得した物件に6か月以内に入居するなど、諸条件をクリアした場合に申請できます。

住宅ローン控除の控除期間

住宅ローンの控除が受けられる期間は原則「10年」ですが、居住を開始した年に応じて以下のように定められています。

  • 2009年(平成23年)~2019年(令和元年)9月:10年
  • 2019年(令和元年)10月~2020年(令和2年):10年または13年
  • 2021年(令和3年)~2022年(令和4年):下記に記載する条件を満たした場合のみ13年

2019年10月に消費税が8%から10%へと増税となり、マイホームを購入する方の税負担も大きくなりました。
そこで消費税増税分の税負担を軽減するために、消費税10%で住宅を購入し、2019年10月~2020年12月までの期間に入居した人を対象に、控除期間を13年に延長する特例措置が設けられました。

しかし当初「2020年12月までに入居」が条件であった控除期間13年の特例措置ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、工事や入居の大幅な遅れが多発しました。

それにともない延長の期日が度々見直され、現在は下記条件を満たすケースに限り2022年(令和4年)12月までの入居でも、控除期間13年の対象となっています。

  • 注文住宅:2020年10月1日~2021年9月30日までに契約
  • 分譲住宅等:2020年12月1日~2021年11月30日までに契約

参考:国土交通省・報道発表資料(令和2年12月21日)

住宅ローン控除の控除額

住宅ローン控除の控除額は、控除期間に応じて異なります。

【1~10年目の控除額】

  • 毎年末の住宅ローン残高×1%

※住宅の取得費が住宅ローンの年末残高よりも少ない場合は、取得費×1%

【11~13年目の控除額】

  • 毎年末の住宅ローン残高×1%
  • 建物の取得費(上限4,000万円)×2÷3

※上記のいずれか少ないほうが控除額

また控除額の上限は原則「年間40万円」ですが、要件を満たした認定優良住宅の場合は「年間50万円」です。

住宅ローン控除で住民税が減税されるケース

住住宅ローン控除 住民税

住宅ローン控除では、通常所得税から控除を受けられます。
ただし所得税のみでは控除しきれなかった場合、住民税からも控除されます。

平成21年から令和3年12月末までに居住を開始し、所得税の住宅ローン減税制度の手続きを行なっている方が対象です。

控除額の上限

住民税からの控除額の上限は、以下の3つの計算方法のいずれかです。

住民税の控除上限の計算方法①

[所得税の住宅ローン控除可能額]ー[住宅ローン控除適用前の前年所得税額]

住民税の控除上限の計算方法②

①の金額が「所得税の課税総所得金額の5%(最大9万7,500円)を超過した場合
→所得税の課税総所得金額の5%

住民税の控除上限の計算方法③

居住開始日が平成26年から令和3年12月末まで、かつ「特定取得」または「特別特定取得」に該当する場合
→前年の所得税の課税総所得金額等の7%(13万6,500円まで)

いつ還付されるのか?

住民税は現金による還付はなく、翌年の住民税の所得割(所得に応じて負担する部分)から税額を減額されます。

住宅ローン控除の手続き

住住宅ローン控除 年末調整

住宅ローン控除は自動で受けられるわけではなく、税務署への手続きが毎年必要です。
手続きは1年目と2年目以降で異なります。

1年目は確定申告

1年目は住宅ローン控除を希望する全員が、確定申告を行ないます。
1年目の確定申告では、住宅の取得や名義に関するさまざまな証明書類が必要です。
期限に間に合うよう早めに準備をしておきましょう。

住宅ローン控除のための確定申告については、こちらの記事をご覧ください。

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住宅ローン控除 確定申告

2年目は確定申告または年末調整

2年目以降は人によって手続きが異なります。

個人事業主は確定申告、給与以外の所得がないサラリーマンは年末調整によって手続きが可能です。
1年目とは提出書類が異なるので、抜け漏れのないよう事前に用意しておきましょう。

住宅ローン控除のための年末調整については、こちらの記事をご覧ください。

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住民税からの控除には別途手続きが必要?

住民税から控除を受ける場合、別途の手続きは必要ありません。
市区町村への手続きも不要です。

通常どおり年末調整・確定申告で手続きをすれば、翌年の所得割(所得に応じて負担する部分)から税額が減額されます。

住宅ローン減税とふるさと納税による節税は併用できる?

住住宅ローン控除 住民税

住宅ローン減税とふるさと納税による節税は併用可能です。
ただしふるさと納税の申告をどの手続きで行うかにより、控除可能な金額が異なります。

ワンストップ特例制度を利用する場合

確定申告を行なわずワンストップ特例制度を利用する場合、住宅ローン減税と併用しても控除額は減少しません。

ワンストップ特例制度を利用すると、ふるさと納税は住民税から全額控除されます。
前述のように住民税からの住宅ローン控除には上限があるため、ふるさと納税の控除分に影響することはありません。

確定申告を利用する場合

確定申告をする場合、住宅ローン控除の金額が減少する場合があります。
これは所得税計算のもとになる課税総所得が、ふるさと納税分を控除した金額で算出されるためです。
所得税の住宅ローン控除の上限は課税総所得によって異なるため、場合によっては控除しきれないこともあります。

まとめ

住宅ローン控除は所得税から控除されますが、所得税だけでは控除しきれない場合は住民税からも控除されます。
所得税からの控除と異なり還付金は出ませんが、翌年の住民税が軽減されます。
住民税からの控除に際し別途手続きは必要ありませんので、通常どおり確定申告か年末調整の手続きを行ないましょう。

なお住宅ローン控除は、ふるさと納税とも併用できます。
ふるさと納税の手続きによって控除額が変化するため、自分の場合はいくら控除されるのか確認してみましょう。
(執筆者:いちはらまきを)

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