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中古マンションの火災保険料の相場はいくら?保険料を節約するポイントも解説

中古マンションを購入する際に「火災保険の保険料相場はいくらなのだろうか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。

結論をいえば、保険料の相場が一概にいくらであると言い切るのは困難です。
補償内容や保険会社などによって、火災保険料は異なるためです。

本記事では、火災保険料の決まり方や金額の目安、保険料を節約するポイントなどをわかりやすく解説します。

遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)


宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級

中古マンションの火災保険の保険料の決まり方

中古マンション 火災保険 相場

火災保険では、火災や自然災害などで補償の対象である建物や家財(家具・家電・衣類など)が損害を負ったときに、保険金が支払われます。
マンションの場合、補償の対象となるのは、建物の専有部分とその中にある家財です。

室内にある扉や間仕切り壁、床材、水回り設備(バス・トイレ・キッチン)などが負った損害が補償されます。
外壁や廊下、エントランスなどの共用部分が負った損害は、管理組合が加入する火災保険の補償対象です。

では火災保険の保険料は、どのように決まるのでしょうか。
まずは火災保険に影響する要素をみていきましょう。

なお火災保険や地震保険の補償内容については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご一読ください。

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建物の構造・所在地など

火災保険の場合、建物部分の保険料は主に構造で決まります。
マンションは、基本的にコンクリート造であるため「M構造」に該当します。
T構造(鉄骨造の一戸建てなど)やH構造(木造の戸建て住宅など)よりも、火災や自然災害による損害が発生しにくいため、保険料は割安です。

また台風や雪災、土砂災害など、自然災害による損害を受けにくいエリアにあるマンションは、損害を受けやすいエリアのマンションよりも保険料が割安となります。

他にも専有面積の広さや築年数によっても、火災保険料は変わります。
専有面積が広い部屋や築年数が古いマンションは、損害を負うリスクが高いため、保険料が割高です。

補償範囲

火災保険は、以下のとおり火災や自然災害(風災・水災)だけでなく、盗難や破損・汚損なども補償の範囲に含めることができます。

  • 火災、落雷、破裂、爆発
  • 風災、雹(ひょう)災、雪災
  • 水濡れ
  • 水災
  • 建物外部からの物体の衝突・落下
  • 騒擾(そうじょう)、労働争議
  • 盗難
  • 破損・汚損等

火災保険は、保険会社が用意するプランの中から1つを選んで加入するのが一般的です。
補償範囲が広いプランほど、毎月の保険料は高くなります。

保険金額

火災保険に加入すると、補償の対象となっている建物や家財が損害を負ったとき、契約時に決めた「保険金額」を上限に実際の損害額が支払われます。
保険金額が高いほど、火災保険料は上がります。

建物の保険金額は、同じ建物を建て直したり同じものを購入したりするために必要な金額である「再調達価額」をもとに設定するのが一般的です。

家財の保険金額は、加入する人が自由に設定できます。
保険会社の多くは、世帯主の年齢や家族構成をもとに、適正であると考えられる家財の保険金額を提示してくれます。

補償期間

火災保険の保険期間(補償が有効である期間)は、1〜10年のあいだで加入できます。
保険期間を2年以上にして保険料を一括で払い込むと、割引が適用されて1年あたりの保険料が安くなります。

地震保険の有無

火災保険は、地震や噴火、津波による損害は補償の対象外です。
地震による火災や津波による水害などに備えるためには、地震保険に加入しなければなりません。

地震保険の保険金額は、火災保険の30〜50%です。
地震や津波などで、補償の対象である建物や家財が損害を負ったときは、損害状況に応じて保険金額の5〜100%の保険金が支払われます。

地震保険の保険料は、建物の構造や所在地、耐震性能などで決まります。
一方で火災保険とは異なり、加入する損害保険会社による保険料の違いはありません。

中古マンションの火災保険料の相場

中古マンション 火災保険 相場

火災保険の保険料は、さまざまな要素で決まるため、相場がいくらであるとは一概にはいえません。

そこで今回は、建物の所在地や築年数、保険金額などの条件を設定し、保険料の目安をご紹介します。

試算の条件は、以下のとおりです。

  • マンションの所在地:静岡県
  • 建物構造:M構造
  • 築年数:築20年
  • 建物の保険金額:1,000万円
  • 家財の保険金額:500万円
  • 地震保険:有(建物500万円・家財250万円)
  • 保険期間:10年

上記の場合、保険料の目安は10年間で約11万〜約22万円です。

試算結果に幅があるのは、補償範囲(火災・風災・水災など)を限定していないためです。
同じ損害保険会社の火災保険でも、補償範囲の選択次第で保険料は大きく異なります。

ここで知っておきたいのが、保険料の安さだけを重視して火災保険の補償範囲を選んではいけないということ。
いくら保険料を安くできても、万が一のときに十分な保険金を受け取れなければ本末転倒であるため、保険料を抑えるよりも必要な補償を考えるほうが重要です。

そもそも火災保険に入らないといけない?

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マンションを購入する際、火災保険の加入は義務ではありませんが必要性は高いです。
また住宅ローンを組む場合は、原則として火災保険に加入しなければなりません。

もらい火では出火元に損害賠償を請求できない

マンションは、隣接する住戸と壁や天井、床のみで接しています。
そのため隣接する住戸で、火災が発生したときに自宅が被害を受ける可能性は、戸建て住宅より高いとも考えられるでしょう。

上下左右の住戸からの出火が原因で部屋が燃えてしまった場合、自己負担で修繕や買い直しをしなければなりません。
日本には「失火責任法」という法律があり、重大な過失がない限り出火元に損害賠償を請求できないためです。

火災保険に加入していれば、隣接する住戸からのもらい火で、室内の壁や床、家具・家電などが燃えてしまったときに保険金で損害をカバーできます。

住宅ローンを組むときは基本的に加入が必須

住宅ローンを組む場合、基本的には火災保険に加入しなければなりません。
ほとんどの金融機関は、火災保険に加入しないと融資をしてくれないためです。

住宅ローンの返済中に、火災が発生して自宅に住めなくなると、ローンの返済義務だけが残ることになります。
火災で燃えた自宅のローン返済に新しい家の家賃の支払いなどが重なると、生活が苦しくなり、ローンの返済ができなくなるかもしれません。

住宅ローンの契約者にローンを滞納されると、損をするのは金融機関です。
そこで金融機関は、融資したお金を回収できなくなる事態を避けるために、住宅ローンの融資条件に火災保険への加入を含めています。

火災保険料を節約するポイント

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火災保険に加入したいものの、保険料負担はできるだけ抑えたいという方も多いのではないでしょうか。
ここでは火災保険料を節約するポイントを3つご紹介します。

補償範囲や保険金額を適切に設定する

火災保険に加入するとき、補償範囲や保険金額を適切に設定することで余分な保険料を支払わずに済みます。

例えば購入するマンションに、洪水や土砂災害に遭うリスクがないのであれば、水災補償を外すことで保険料負担を抑えられます。
自然災害のリスクは、自治体が公表するハザードマップで確認が可能です。

防犯カメラやオートロック、常駐する管理員などセキュリティ性能が高いマンションを購入するのであれば、あえて盗難補償を付けない方法もあります。

補償の対象に家財を含めるのであれば、保険金額を適切に設定しましょう。
自宅にあるものが万が一燃えてなくなった場合、再び同じものを買い直すために必要な金額を計算することで、保険金額を適切に設定できます。

契約期間を長くする

火災保険の保険期間は最長10年、地震保険は最長5年で契約が可能です。
※2022年10月以降に契約する火災保険については、保険期間が最長5年となります

保険期間を長期間にして支払方法を一括にすると、割引率が大きくなり保険料が割安になります。

保険料の払込総額を抑えたいのであれば、保険期間を長くして保険料を一括で支払うと良いでしょう。

複数の保険会社から見積もりを取り寄せて比較する

損害保険会社によって、火災保険の保険料の算出方法が異なるため、補償内容が同じでも保険料まで同額であるわけではありません。

また損害保険会社によっては「オール電化住宅割引」「ホームセキュリティ割引」「ノンスモーカー割引」など、独自の割引制度を実施していることがあります。

そのため火災保険に加入する際は、必要な補償内容を決めたうえで複数の保険会社から見積もりを取り寄せ、保険料を比較して選ぶと良いでしょう。

【まとめ】中古マンションの火災保険料は補償内容によって異なる

火災保険の保険料は、補償の対象や補償範囲、保険金額などさまざまな要素で異なるため、相場が一概にいくらとはいえません。
購入するマンションにとっての必要な補償を考えたうえで、損害保険会社から見積もりを取り寄せて保険料を比較して加入先を選ぶと良いでしょう。

とはいえ損害保険や不動産などの知識がなければ、火災保険の必要な補償を選ぶのは難しいかもしれません。
そこで火災保険に加入するときは、不動産会社や保険会社、保険代理店などの担当者に相談をすることをおすすめします。
(執筆者:品木 彰)

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