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住宅ローン審査とは?事前審査と本審査の違いや所要期間、必要書類を解説

住宅ローンを借り入れるためには、金融機関の審査に通過しなければなりません。
住宅ローンを組んでマイホームを取得する場合は、審査項目や申し込む際に必要となる書類を把握しておくことが大切です。

本記事では、住宅ローン審査の流れや必要書類、主な審査項目を解説します。

遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 恒吉 俊哉(つねよし しゅんや)


宅地建物取引士

住宅ローン審査は「仮審査(事前審査)」と「本審査」がある

住宅ローンには「仮審査(事前審査)」と「本審査」の2種類があります。

仮審査は、住宅ローンを申し込んだ人の返済能力を簡易的に確認するための審査です。

本審査では、収入を証明する書類などをもとにローンを申し込んだ人の返済能力がより入念に確認されるだけでなく、申込者の健康状態や物件の担保価値も審査対象となります。

住宅ローン審査の流れや必要書類

続いて、住宅ローン審査の流れや審査時の必要書類をご紹介します。

住宅ローン審査の流れ

住宅ローン審査のおおまかな流れは、以下のとおりです。

  1. 仮審査申込
  2. 不動産売買契約・本審査申込
  3. 金銭消費貸借契約(住宅ローン契約)
  4. 融資の実行・物件の引き渡し

仮審査は、自分自身で金融機関を探して申し込みをする他にも、不動産会社が提携している金融機関を選ぶ方法もあります。

提携金融機関であれば、必要書類の準備や申し込みを、不動産会社がサポートしてくれるでしょう。

本審査に通過したあとは、金融機関が提示する借入金額や返済期間、借入金利などの条件を確認し、問題がなければ金銭消費貸借契約を結びます。

住宅ローン審査の所要期間

住宅ローン審査の所要期間は、以下のとおりです。

  • 仮審査:3〜4日
  • 本審査:1〜2週間

仮審査は簡易的な審査であるため数日で結果がわかります。
一方の本審査は、審査項目が仮審査よりも多く、1つ1つの項目をより細かく確認されるため、結果がわかるまでに少なくとも1週間はかかります。

住宅ローン審査の必要書類

住宅ローン審査に必要となる書類の例は、以下のとおりです。

提出書類の例
本人確認書類 ・運転免許証
・マイナンバーカード
・健康保険証
・住民票の写し
・印鑑登録証明書・印鑑
本人に関する書類 ・給与所得の源泉徴収票(給与所得者の場合)
・住民税決定通知書または課税証明書
・確定申告書一式(自営業者の場合)
・納税証明書
物件に関する書類 ・売買契約書
・重要事項説明書
・工事請負契約書
・建築確認済証または建築確認通知書
・建築確認申請書
・パンフレット・チラシ

必要書類や提出するタイミングは、金融機関によって異なります。

また、申し込んだ人の職業や取得する物件の種類などでも、必要書類は変わってくるため、事前によく確認のうえ、スケジュールに余裕を持って収集を開始しましょう。

住宅ローンの審査項目と審査基準

では、金融機関は審査時に何を確認しているのでしょうか。

国土交通省の調査によると、アンケートに回答した金融機関の9割以上が「融資審査で考慮する」と回答した項目は、以下のとおりです。

  • 完済時の年齢:98.7%
  • 健康状態:97.9%
  • 借入時の年齢:97.2%
  • 担保評価:96.1%
  • 勤続年数:95.7%
  • 連帯保証:93.1%
  • 返済負担率:93.0%
  • 年収:92.9%

※出典:国土交通省「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書

ここでは、上記のなかでもとくに重要な審査項目と、ローンを申し込む際に知っておきたい「個人信用情報」について解説します。

完済時や借入時の年齢

金融機関の多くは「借入時の年齢が20歳以上70歳未満」「完済時の年齢が80歳未満」といった制限を設けており、申し込んだ人の年齢は審査の対象となります。

例えば、返済期間が35年の住宅ローンを組む場合「30歳から返済が始まり65歳に完済予定の人」と「45歳から返済が始まり80歳に完済予定の人」では、後者の方が審査に通過しにくくなります。

健康状態

金融機関が独自に取り扱う住宅ローンの多くは「団体信用生命保険(以下、団信)」の加入が融資条件となっています。
団信に加入すると、返済途中で借り手が亡くなったとき、保険金でローンが完済されます。

団信に加入するためには、住宅ローンを返済する人の健康状態が一定の基準を満たしていなければなりません。

そのため、申し込んだ人の健康状態も、重要な審査項目となります。

物件の担保評価

金融機関は、住宅ローンを組んで取得する物件に抵当権を設定します。

抵当権とは、住宅ローンの借り手が返済できなくなったときに、担保物件を差し押さえ、競売などで得られた代金を優先的に債務の弁済に充てられる権利です。

取得予定の物件に担保として十分な価値がないと、売却しても借入金を回収できないため、物件の担保価値も審査されます。

返済負担率

返済負担率は、年収に占める年間返済額の割合です。
例えば年収600万円、年間返済額が150万円の場合、返済負担率は「150万円÷600万円=25%」です。

年間返済額には、借入予定の住宅ローンだけでなく、教育ローンや自動車ローンなど他の借り入れも含まれます。

融資審査では、返済負担率が金融機関の規定を超えていないかどうかが確認されます。

年収・勤続年数

住宅ローンの主な返済原資となるのは、借り入れた人の年収です。
そのため審査では、申し込んだ人に安定した年収があるかが確認されます。

また借り入れた人の返済能力を審査するうえでは、勤続年数も重要な要素となります。
年収が不安定な人や勤続年数が短く短期間で転職を繰り返している人は、審査に通過しにくくなる可能性があります。

個人信用情報

信用情報とは、クレジットやローンの契約・申し込みに関する情報です。
住宅ローンの審査時に、金融機関は申し込んだ人の個人信用情報を「個人信用情報機関」に照会します。

クレジットカードの支払いやローンの返済を長期間にわたって滞納した履歴が個人信用情報機関に残っていると、審査に著しく不利となることがあります。

仮審査に通過できても本審査で落ちる理由

仮審査に通過できたとしても、本審査で落ちてしまうケースがあります。
ここでは、本審査で落ちる代表的なケースをご紹介します。

仮審査の申告内容が本審査で確認した内容と異なっていた

本審査では、源泉徴収票や健康保険証などをもとに返済能力が入念に確認されるため、仮申請での申告内容に誤りがあったために、融資が承認されないことがあります。

また「仮審査で申告していなかった借り入れがあった」「仮審査後に転職をして年収が低下した」といった理由で、本審査に落ちるケースもあります。

物件の担保評価が低い

物件に担保としての価値がなければ、返済が滞納されたときに抵当権を行使しても融資金を回収できない可能性があるためです。

金融機関によっては、仮審査時に物件の担保価値を確認しない場合もあります。
そのため、申し込んだ人の返済能力に問題がなくても、物件の担保価値が低いことが理由で本審査に落ちてしまうこともあります。

住宅ローンの審査に落ちたときの対処方法

金融機関は融資審査に通過できなかった理由を教えてはくれないため、落ちた理由を自分自身で考え、それに応じた方法で対策を練る必要があります。

ここでは、住宅ローンの審査に落ちたときの代表的な対処方法をご紹介します。

借入金額や返済期間を見直す

住宅ローンの審査に落ちたときは、予算を見直して借入金額を減らすことを検討するのも1つの方法です。
借入金額を減らすと、返済負担率が低下するため審査に通過しやすくなります。

完済時の年齢が高いことが原因で審査に落ちた可能性がある場合は、返済期間を短くする方法も考えられます。

頭金を多く入れる

頭金を多く入れると借入金額を減らせるため、返済負担率が低下して金融機関の審査に通過しやすくなるでしょう。

また、まとまった金額の頭金を準備できれば、金融機関から「この人はお金をきちんと管理できる人だ」と評価されて、審査に有利になる可能性もあります。

他の借り入れを返済する

返済負担率の計算には、住宅ローンだけでなく他の借り入れも含まれます。

他の借り入れを返済すると、年間返済額が減って返済負担率が低下するため、審査に通過しやすくなります。

ペアローンや収入合算を利用する

借入金額が多いことが原因で審査に落ちたと考えられる場合は、ペアローンや収入合算(連帯債務・連帯保証)を利用する方法があります。

  • ペアローン:夫婦や親子で個別に住宅ローン契約を結んで借り入れる方法
  • 連帯債務:複数人で返済義務を負って、1本の住宅ローンを契約する方法
  • 連帯保証:どちらかが主債務者となり、もう1人が連帯保証人となる借入方法

ペアローンや収入合算は、審査時に複数人の年収が合算されるため、1人で住宅ローンを申し込んだときよりも、審査に通過できる可能性が高まります。

他の金融機関でローン審査を申し込む

金融機関によって住宅ローンの審査基準は異なります。

借入金額が返済期間などの条件が同じであっても「A銀行では審査に落ちたが、B銀行では通過できた」といったケースが起こり得ます。

住宅ローンの審査に落ちてしまったときは、他の金融機関での申し込みも検討してみましょう。

【まとめ】住宅ローンを組む際は審査基準や必要書類を理解しよう

住宅ローンの審査では、申し込んだ人の年齢や健康状態、返済負担率、物件の担保価値など、さまざまな項目が審査されます。

住宅ローンを組む場合、審査に申し込む前に返済計画を立て、スケジュールに余裕をもって必要書類を集めましょう。
また審査に通過できなかったときは、落ちた原因を考えて対処方法を練ることが重要です。
(執筆者:品木 彰)

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