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競売の費用は債務者が負担?費用の目安はどれくらい?

「競売になったら、いくら費用がかかるのだろうか?」
「できれば住宅を競売にかけられたくない…」

住宅ローンの返済を滞納すると、金融機関に住宅を差し押さえられ、競売にかけられることをご存じの方は多いでしょう。
しかし競売で多額の費用が発生することは、あまり知られていません。

この記事では、競売にかかる費用や競売を防ぐ方法などを解説していますので、ぜひご一読ください。

遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)


宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級

不動産の競売とは?

不動産競売とは、金融機関が裁判所を通じて物件を差し押さえて売却することです。

住宅ローンを融資する金融機関は、借入れる人が購入する不動産に抵当権を設定します。

【抵当権とは?】
住宅ローンを融資した人が返済できなくなった場合に、物件を担保にできる権利です。
もし住宅ローンを借入れた人が、返済を3〜6カ月滞納した場合、金融機関は抵当権を行使し、住宅を競売にかけて融資金の回収を試みます。

銀行のような金融機関では、住宅ローンを数ヶ月にわたって滞納すると保証会社が残債を代位弁済し、住宅ローンを借り入れた人に一括返済を求めます。

住宅ローンの返済を滞納する人が、保証会社の一括返済に応じるのは困難でしょう。
そのため保証会社による代位弁済が実行されると、金融機関に競売を申し立てられて、強制的に家を差し押さえられることになります。

不動産の競売にはどのような費用がかかる?

不動産の競売費用は、数10万円の場合もあれば100万円を超える場合もあります。
競売でかかる費用の種類は、以下の通りです。

  • 申立手数料
  • 予納金
  • 郵便切手代・登録免許税

それぞれの詳細について、確認していきましょう。

申立手数料

申立手数料とは、競売の申立書に収入印紙を添付して収める手数料です。

申立手数料は、一般的に担保権1個につき4,000円です。
住宅ローンの借入額や滞納額によって、申立手数料は変わりません。

予納金

予納金とは、競売手続きをする際の現況調査手数料や評価料、売却手数料などの支払いに充てられる費用です。

予納金の額は競売を管轄する裁判所によって異なりますが、競売費用の中でも特に高額となるケースがほとんどです。

参考として東京地方裁判所における予納金の額を紹介します。
以下の表のように請求債権額によって予納金の額も変わります。

請求債権額とは、住宅ローンの貸付金や利息、遅延損害金などの合計金額です。

請求債権額 予納金の額
2,000万円未満 80万円※
2,000万円以上 5,000万円未満 100万円
5,000万円以上1億円未満 150万円
1億円以上 200万円

※ただし,令和2年3月31日以前に受理された申立てについては60万円

仮に請求債権金額が3,000万円であった場合、100万円の予納金がかかります。

一方で大阪地方裁判所の予納金は、原則90万円です。
請求債権額によって、予納金の額は変わりません。

郵便切手代・登録免許税

郵便切手代とは、金融機関が競売の必要書類を裁判所に送付するときにかかる費用です。
裁判所によって郵便切手代は異なり、不要の場合もあれば84円ほどかかる場合もあります。

登録免許税とは、不動産の登記をする際に支払う税金です。
競売では不動産の差押え登記をするため、登録免許税を支払う必要があります。

差押え登記で必要な登録免許税の額は、請求債権額の4/1,000です。
仮に請求債権額が3,000万円の場合、12万円の登録免許税がかかります。

不動産の競売費用は誰が負担する?

不動産の競売費用は、最終的に住宅ローンを借入れた人(債務者)が負担します。

競売の申し立てをするときに金融機関(債権者)は、予納金や申立手数料などの競売費用を債務者の代わりに裁判所へ納めています。

競売物件を購入する人(買受人)が決まった場合、売却金から競売費用分が優先的に差し引かれるため、最終的には債務者負担となるのです。

競売は多額の費用負担が発生するだけでなく、売却価格は相場の50〜70%となるのが一般的です。
そのため住宅が競売にかけられると、多額の残債が発生する恐れがあります。

また競売は、金融機関もリスクを負うことになります。
買受人が現れなかった場合や、競売が途中で取り下げられた場合は、競売費用から手続きで発生した費用が差し引かれた金額しか、金融機関には返還されないためです。

競売を回避するためには「任意売却」も検討しよう

住宅ローンを滞納していても、任意売却が成立すれば競売を回避できます。

任意売却とは?

任意売却とは、住宅ローンを滞納してしまっているときに、金融機関の承諾を得て不動産を売却する方法です。

裁判所が主体となって強制的に手続きが進む競売とは異なり、任意売却は通常の不動産売却と同じ手順で買主を探して物件を売却します。

任意売却のメリット

任意売却では、相場に近い価格での売却が期待できるため、残債を減らせる可能性が高くなります。
売却後に残債が生じても、無理のない返済計画を組んでもらえることもあるのです。

また任意売却の決定権は債権者である金融機関にあり、不動産会社が売却を仲介するため、交渉によって売主の意思が反映されやすい点もメリットです。

任意売却には、競売のように裁判所のホームページや新聞などに自宅の情報が掲載される恐れはありません。
住宅ローンを滞納していることを周囲に知られる可能性は、競売よりも任意売却の方が低いといえます。

任意売却を成功させるポイント

任意売却を成功させるためには、任意売却が得意な不動産会社に金融機関との交渉を依頼することが大切です。

金融機関からの承諾がなければ、住宅ローンの残っている物件を任意売却できません。
金融機関との交渉には専門的な知識が必要となるため、任意売却の実績が豊富な不動産会社を探す必要があります。

ただし自宅が差し押さえられている場合、不動産会社をゆっくり探している時間はありません。
保証会社が住宅ローンを代位弁済してから競売が開札されるまでのおよそ半年間で、買主を見つけて売却の手続きまで済ませる必要があるためです。

また売却期間が短くなるほど、高値で売れる可能性が低くなってしまいます。
任意売却を成功させるためには、早めに不動産会社に相談しましょう。

競売の取り下げには費用がかかる?

任意売却をするためには、金融機関に競売の申し立てを取り下げてもらう必要があります。

競売の手続きがあまり進んでいない段階で申し立てが取り下げられた場合、住宅ローンの債務者が負担する費用はありません。
しかし競売の手続きが進んで費用が発生していた場合、金融機関は立て替えた金額と返還された金額の差額負担を、債務者に求めてくるでしょう。

少しでも費用負担を抑えたいのであれば、早めに金融機関と任意売却の交渉をしましょう。

まとめ

競売では、高額な費用が発生するだけでなく、売却価格が相場の50〜70%となります。
住宅が競売にかけられると、多額の残債が発生するリスクが高まるでしょう。

すでに住宅ローンを滞納している場合は、任意売却の検討をおすすめします。
任意売却では、相場と同程度の価格で住宅を売却できる可能性があるだけでなく、競売費用もかかりません。

競売を回避したい方は、任意売却の実績が豊富な不動産会社に早めに相談しましょう。
(執筆者:品木彰)

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