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問題視される「空き家」を有効活用!事例や補助金制度を解説

1990年頃を境に、住人のいない空き家は増加傾向にあります。
空き家の放置にはさまざまなリスクが存在するため、何らかの方法で活用できるのが望ましいですが、どのような活用方法が検討できるのでしょうか。

この記事では空き家のリスクと活用方法を、具体的な事例を交えながらご紹介します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長
石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

「空き家」はなぜ問題視されているのか?

空き家 活用_

「家が建っているだけなのだから別に放っておいてもよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし空き家はさまざまなリスクを抱えています。

例えば住人のいないまま長期間放置されている空き家には、倒壊のリスクがあります。
ほかにも犯罪に利用される可能性や、放火犯に狙われる可能性も無視できません。

周辺地域の治安の悪化など、社会への悪影響が懸念されることからも、空き家の増加は深刻な問題になっているのです。

空き家の活用事例を紹介

空き家 活用_

空き家を放置するとリスクが増大するため、これからご紹介するいずれかの方法での活用を言検討しましょう。

では具体的にはどのような活用方法があるのでしょうか。
空き家の活用事例を紹介します。

空き家の活用事例① 賃貸住宅にする

空き家の代表的な活用方法は、リフォームした上で賃貸住宅として運用することです。
入居者が見つかれば家賃収入が得られる上、清掃などある程度の維持管理は住人が行なってくれます。
空き家を収入源にできるだけでなく、維持管理の手間も省ける活用方法です。
ただし賃貸住宅として活用する場合は、次のことに注意しましょう。

収支のシミュレーションが必要

空き家を賃貸に出す際、毎月の家賃収入と支出のシミュレーションに注意が必要です。

賃貸住宅の運用には、リフォームローンの返済や税金の支払い、修繕費用の積み立てといった支出が毎月発生します。
支出に見合った家賃収入を確保できるのか、ローンを組む場合何年で完済できるのかなど、現実に即したシミュレーションが必要です。

所有している空き家が賃貸住宅として運用可能な物件なのか、周辺の家賃相場なども含めてリサーチしましょう。

空き家の活用事例② 民泊施設にする

民泊施設にすることも、空き家を収入源として利用できる方法のひとつです。
観光地など宿泊施設の需要が高いエリアであれば、まとまった収入が期待できます。

ただし空き家を民泊施設として活用する場合は、法規制に注意が必要です。

民泊関連の法規制に注意する

民泊の営業は住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)で規制が設けられており、ルールにのっとった運営が求められます。
例えば旅館業の業登録を取得せず民泊として運営する場合、年間の営業日数は180日の上限が設けられています。
そのため1年中宿泊施設として利用できるわけではありません。

そもそも民泊施設として営業できない場合もあります。
都市計画区域内にある建物には、それぞれ用途が設定されています。
用途地域によっては、建築や用途変更ができない可能性があります。

民泊施設にするのであれば「ホテル又は旅館」への用途変更が必要ですが、「第二種中高層住居専用地域」など、宿泊施設の建築が禁止されているエリアの場合、用途変更はできません。
民泊の開業が可能なのか、どのように運営できるのかを含めて法規制の確認が必要です。

空き家の活用事例③ 更地にして土地活用

建物の活用が難しい場合、取り壊して更地にして活用することも視野に入れましょう。
駐車場として整備・運用する、住宅用地や法人向けの事業用借地として貸し出すといった方法が代表的です。

土地にかかる税金に注意する

住宅が建っている土地には、固定資産税と都市計画税を軽減する特例措置が設けられています。
この制度は更地にすると利用できなくなるため、税金が上がる可能性があります。
土地の運用を検討する際は、この点も考慮して収支を計算するとよいでしょう。

空き家に関する補助金制度

空き家 活用_

所有者がリフォームや取り壊しのための費用が捻出できないことも、空き家が放置される理由のひとつです。
この状況を打開するべく、空き家の工事にかかる費用を援助する地方自治体も存在します。

具体例として、実際に自治体が用意している補助金制度を見てみましょう。
※ご紹介する自治体の補助金制度は記事作成時の情報です。最新情報に関しては各自治体のHPをご確認ください。

浜松市空き家解体補助金(静岡県浜松市)

浜松市では、申請から過去5年間にわたり空き家となっている建物の取り壊しに対して、補助金を利用可能です。
対象の空き家に対し、解体費用の3分の1以内かつ50万円までを市から支給してもらえます。

補助金の利用には、以下の要件が設定されています。

  • 建物が登記されていること
  • 昭和56年5月31日以前に建築確認済みであること
  • 浜松市内にあること

名古屋市老朽危険空家等除却費補助金(愛知県名古屋市)

名古屋市は市内にある空き家を対象に、空き家の解体除去費用を補助しています。
市から老朽化が著しい「特定空家」に認定されている建築物のうち、倒壊の恐れがあるなど特に保安上の危険をはらむものが対象となります。

補助金の上限は工事費用の2分の1で、最大60万円までです。

京都市空き家活用・流通支援等補助金(京都府京都市)

京都市には、空き家の活用に対して補助金を受け取れる制度があります。
空き家の流通と活用を促すことを目的としており、改修工事にかかる費用の3分の2(最大90万円)の補助を受けられます。

ただし補助金を利用は「空き家の活用目的が京都市の活性化に繋がる」と認められた以下のようなケースに限ります。

  • 京都市外からの移住者の住居
  • 学生の住居
  • 留学生または外国人研究者の住まい
  • 地域の居場所づくり

空き家を放置すると固定資産税が増える?!

空き家 活用_

空き家を長期間にわたり放置した結果老朽化が進行すると、自治体から「特定空家」の認定を受ける場合があります。
特定空家に認定されるデメリットのひとつが、固定資産税の増加です。

住宅が建っている土地は、土地の面積に応じて固定資産税と都市計画税が軽減されます。
固定資産税は最大で6分の1まで減額されます。

しかし特定空家には、この軽減措置が適用されません。
そのため、今まで安く済んでいた税金が急に6倍に跳ね上がることがあるのです。

固定資産税の負担増加を防ぐためにも、住人のいない空き家は何らかの方法で活用することが望ましいでしょう。

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活用が難しい空き家は「売却」も検討しよう!

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空き家の放置にリスクがあるのは分かっていても、金銭的な問題や管理の問題から活用が難しいこともあります。
この場合は、売却を検討するのも有効な方法です。

しかし建物が古い場合や隣地との境界が未確定の場合など、物件の状況によっては仲介を利用した個人間売買では売れないこともあります。

このケースでは不動産会社による「買取」がおすすめです。
仲介を利用した場合と比べて早く現金化でき、仲介では売却が難しい物件も買取ってもらえる可能性が高いでしょう。

まとめ

空き家の放置は所有者や地域にとってもリスクが大きいため、有効的な活用が推奨されています。

賃貸住宅や民泊施設としての運用は、収入源にもなるためおすすめの活用法です。
金銭的な理由で空き家の取り壊しや活用ができない場合は、地方自治体の補助金制度も活用しましょう。

立地条件や建物の状態によっては、活用が難しいときもあります。
活用が難しい空き家は「売却」も選択肢のひとつとなります。
不動産会社による「買取」なら、売却が難しい物件も早期に現金化が可能でしょう。

空き家についてお悩みの方は、まずは信頼できる不動産会社への相談をおすすめします。
(執筆者:いちはらまきを)

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