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空き家を処分するためには?2つの選択肢や補助金制度、処分費用を徹底解説!

「空き家を相続したのだが、使わないので処分したい」
「空き家はどのように処分すれば良いのだろうか」

空き家を処分する方法は、さまざまです。
メリットやデメリット、費用などが異なるため、所有する空き家の状態に応じた方法で処分することが大切です。
今回は空き家の処分方法や費用、利用できる補助金制度についてわかりやすく解説していきます。

遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)


宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級

空き家の処分・考えるべき2つの選択肢

空き家 処分

空き家を処分する際の選択肢は、主に以下の2点です。

  • 売却で手放す
  • リフォームして活用する

それぞれについて、詳しく解説していきます。

選択肢①売却で手放す

空き家を売却すると、売却金を得られるだけでなく、固定資産税や都市計画税の負担もなくなります。
空き家を売却する方法は、主に以下の3種類です。

  • 建物を残したまま古家付き土地や中古住宅として売却
  • 更地として売却
  • 不動産会社による買取で売却

建物に手を加えることなく古家付き土地として売却できると、解体費用やリフォーム費用が発生しないため、より多くのお金を手元に残せる可能性があります。
古家付き土地で売却できる見込みがなければ、費用はかかるものの、建物をリフォームしたり更地にしたりして売却するのも方法です。

ただし、それでも買い手が見つからなければ、工事費用が無駄になってしまうこともあります。

仲介で空き家の買い手が見つからない場合、不動産会社に買取ってもらう方法があります。
不動産会社の買取はスピーディーに売却できることがメリットですが、売却価格が相場の約7割に減ってしまう点に注意が必要です。

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空き家 売却

選択肢②リフォームして活用する

空き家を売却せずに、建物をリフォームして他人に貸し出すのも方法のひとつです。
借り手が見つかると家賃収入が得られる他、清掃や物件の管理も入居者が行ってくれるため、オーナーの負担も減らせます。

また空き家の立地が、観光地のような宿泊施設の需要が見込めるエリアであれば、民泊施設に改装するのも有効です。

賃貸住宅や民泊施設など、空き家の活用が見込めない場合、建物を解体して更地にすることで、駐車場や事業者借地として活用できる可能性があります。

一方でリフォームして他人に貸し出す場合は、リフォームローンの返済や税金の支払い、修繕費用の積み立てなどが発生します。
空き家を活用する場合は、収支シミュレーションで採算が取れるのかを確認することが大切です。

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空き家 活用_

空き家の処分に役立つ補助金・減税制度

空き家 処分

空き家の処分や活用には、工事費用や改修費用などがかかります。
空き家を処分するとき、自治体によっては補助金や減税などの措置を実施しているので、有効に活用しましょう。

ここでは、自治体や国が実際に実施している補助金制度や減税制度をご紹介します。

静岡市空き家改修事業補助金交付制度

静岡県静岡市空き家改修事業補助金交付制度は、空き家を有効活用を目的とした制度です。
水道、ガスまたは電気設備台所の改修費や、トイレまたは風呂の改修費など空き家リフォームの負担を軽減できます。

補助の条件は、以下の通りです。

補助対象住宅

  • 静岡市空き家情報バンクを利用し、売買契約が締結されたものであること。
  • 自己の居住の用に供さない部分について、自己の用に供する目的で使用すること。
  • 人の居住の用に供する部分の延床面積が55m2以上であること。
  • 過去にこの補助金の交付を受けていないものであること。

補助対象者

  • 所有者が個人であること。
  • 本市の住民基本台帳に記録され、かつ、購入した補助対象住宅に10年以上居住する定であること。
  • 補助金の交付時において、世帯員全員が納付すべき市民税を滞納していないこと。
  • 暴力団員等(静岡市暴力団排除条例(平成25年静岡市条例第11号)第2条第3号に規定する暴力団員等をいう。)でないこと。

※補助金制度の概要は2021年3月時点の情報です。詳しくは各自治体のHPをご覧ください。

相続空き家の3,000万円特別控除

相続空き家の3,000万円特別控除とは、空き家の売却によって発生した利益のうち3,000万円までが非課税となる制度です。
相続した家を売却して利益(譲渡所得)を得たとき、所得税や住民税を負担しなければなりません。

譲渡所得に対する所得税や住民税の税率は、建物の所有期間に応じて決まります。

  • 長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%(所得税15%+住民税5%復興特別所得税0.315%)
  • 短期譲渡所得(所有期間5年以内):39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税0.63%)

相続空き家の3,000万円特別控除が適用されると、譲渡所得が3,000万を超えない限り所得税や住民税を納める必要はありません。

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空き家 3000万円控除

空き家の処分費用はどれくらい?

空き家 処分

空き家の処分費用は、売却と活用、空き家のリフォームと建物の解体で異なります。

空き家の売却費用

空き家を売却するとき、手数料や税金などの支払いが発生します。
支払金の中でも特に高額なのが、物件の売却を仲介してもらった不動産会社に支払う仲介手数料です。

多くの不動産会社は、法律で定められた「物件価格×3%+6万円(税抜)」という計算式から仲介手数料を算出しています。

仮に物件の売却価格が1,000万円であった場合、1,000万円×3%+6万円=36万円(税抜)の仲介手数料が発生します。
なお、不動産業者に空き家を買い取ってもらう場合、買取価格が売却相場の7割程度になる代わりに仲介手数料はかかりません。

不動産を売却するとき、印紙税を納める必要があります。
印紙税とは、物件の売買契約書に収入印紙を添付する形で収める税金です。
売買契約書に記載される金額が100万〜5,000万円の場合、印紙税額の目安は2,000〜20,000円です。

相続空き家の3,000万円特別控除を適用しない場合、譲渡所得に対する所得税と住民税の負担が加わります。

空き家のリフォーム費用

空き家のリフォーム・リノベーションの費用は、工事の規模や施工を依頼する業者によって大きく異なります。

例えば水回り設備の場合、トイレや洗面所などの工事費用はそれぞれ数十万円で済みます。
一方で、風呂やキッチンなどのリフォーム工事費用は100万円以上かかるケースもあるのです。

また耐震改修やシロアリ被害の改修などのリノベーションを施した場合、それぞれ100万円以上費用がかかる場合があります。

リフォーム・リノベーション工事の規模が大きいほど費用は高額になるため、空き家の改修・改築は必要な箇所のみに留めましょう。

空き家の解体費用

空き家の解体費用は、建物の構造や階層、立地などによって大きく変わります。
解体費用の目安は、以下の通りです。

空き家の構造 費用相場(坪単位)
木造 3万円から5万円
鉄骨造 4万円から7万円
RC(鉄筋)造 6万円から8万円

空き家の解体費用が、100万円以上かかるケースは珍しくありません。
例えば、40坪の木造住宅を解体する場合、費用の目安は120万〜200万円です。

解体費用は、業者ごとに異なります。
空き家の解体を依頼するとき、複数の業者に見積もりを取ってもらうと適切な費用がわかりやすくなります。

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空き家の処分は早めにするべき!

空き家 処分

所有している空き家を、今後誰も使う予定がないのであれば、早めに処分を検討しましょう。
誰も住んでいない空き家の所有には、さまざまなリスクがあるためです。

空き家が近隣の住環境に悪影響を与える

居住人がおらず管理されていない空き家の存在は、周辺の住環境に以下のようなさまざまな悪影響を与える可能性があります。

  • 景観が悪化し近隣住民の迷惑となり、街全体の資産価値が減少する
  • 建物が倒壊したり壁が剥がれ落ちたりして近隣住民に被害を与える
  • 放火や不法侵入などの犯罪が発生する

空き家を管理していないことで、近隣住民に被害を与えた場合、損害賠償を請求されるリスクがあります。
ご自身が金銭的な損害を負ったり、第三者に被害が及んだりする前に、所有する空き家を処分しましょう。

固定資産税が最大で6倍になる恐れがある

所有中の空き家に誰も住んでいないと、固定資産税や都市計画税の負担が増える恐れがあります。
その場合、固定資産税や都市計画税を算出する際に「小規模宅地等の特例」が適用されなくなるためです。

小規模宅地等の特例とは、土地の上に人が居住するための建物がある場合、固定資産税や都市計画税の税額が軽減される制度です。
空き家の管理を放置し続けた結果、自治体から「特定空き家等」に認定されると、小規模宅地等の特例が適用されなくなり、固定資産税額が最大で6倍になってしまいます。

自治体から空き家の管理に関して指導を受けたら、特定空き家等と認定される前に、速やかに状況を改善しなければなりません。
管理や状況改善が難しければ、早めに空き家を処分しましょう。

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相続空き家3,000万円特別控除が適用されなくなる

相続空き家の3,000万円特別控除を受けるためには、2023年12月31日までに空き家を譲渡する必要があります。
相続が発生した日から起算して、3年を経過する日の属する年の12月31日までに空き家を譲渡していなければ、相続空き家の3,000万円特別控除を受けられません。

期限を過ぎてしまうと、特例が適用されず譲渡所得に対する所得税や住民税の支払いが生じてしまいます。
空き家の売却で譲渡所得が発生する可能性があれば、必ず期日までに譲渡しましょう。

まとめ

空き家の処分方法は、大きく分けて「売却する」と「活用する」の2種類です。

処分方法 選択肢
売却する
  • 建物を残したまま売却する
  • 建物を解体し更地にして売却した
  • 不動産会社に買い取ってもらう
活用する
  • 賃貸住宅
  • 民泊施設
  • 駐車場
  • 事業借地

空き家の処分方法を早急に検討しなければ近隣住民に被害が及んだり、税負担が増えたりする恐れがあります。
ご自身が所有する空き家にとって、最適な処分方法を選択できないときは、不動産のプロに相談してみてはいかがでしょうか。
(執筆者:品木彰)

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