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不動産相続の相談先はどこ?選択肢や失敗を防ぐポイントを解説

亡くなった人が残した財産の中に、土地や建物などの不動産が含まれていた場合、分割方法や名義変更の仕方、相続税の申告方法などで悩む可能性があります。

不動産相続における悩みは、弁護士や税理士、不動産会社などに相談すると良いでしょう。
本記事では、不動産を相続したときの主な相談内容や代表的な相談先をわかりやすく解説します。

遠鉄の不動産・浜松北ブロック長 恒吉 俊哉(つねよし しゅんや)


宅地建物取引士

不動産を相続したときに相談する主な内容

不動産 相続 相談

不動産を相続したときの主な相談内容は、以下のとおりです。

  • 遺産の分割方法
  • 不動産の名義変更(相続登記)
  • 相続税の申告・納税
  • 相続した不動産をどうするべきか

ひとつずつみていきましょう。

遺産の分割方法

亡くなった人が遺言書を残していない場合、相続人全員で遺産分割協議をして遺産の引き継ぎ方を決め、遺産分割協議書を作成します。

相続人同士の意見が合わずに遺産分割協議の内容がまとまらず、トラブルに発展するケースは少なくありません。

特に不動産のような分割しにくい遺産は、誰がどのように引き継ぐのかが決まらず、揉めてしまうこともあります。

トラブルが生じないようにするためには、法律の専門家に不動産の相続方法を相談するのがおすすめです。

不動産の名義変更(相続登記)

不動産を相続したときは、法務局で名義変更の手続きをします。
相続した不動産の名義変更手続きは「相続登記」といわれます。

相続登記をしていなければ、相続した不動産が自分自身のものであると第三者に主張することができません。

相続登記は相続人自身でも手続きできますが、法律や不動産の専門知識が求められるため、報酬を支払って専門家に依頼するのが一般的です。

なお相続登記は、2024年(令和6年)4月1日から義務化される予定です。

相続税の申告・納税

各相続人が相続した遺産の合計金額が、、相続税の申告と納税をしなければなりません。基礎控除額である「3,000万円+(600万円×法定相続人)」を超えていた場合

法定相続人は、亡くなった人の遺産を相続する権利があると民法で定められた人を指します。

例えば法定相続人が、亡くなった人の配偶者と子ども2人の合計3人である場合、各相続人が相続した遺産の合計金額が「3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円」を超えていれば、相続税の申告・納税が必要です。

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月です。
申告期限までに遺産のすべてを把握して価値を評価し、必要に応じて税額を計算して申告と納税を済ませなければなりません。

限られた時間で、遺産を正確に把握して適切に申告手続きを済ませるために、専門家に協力を得るケースは少なくありません。

相続した不動産の売却方法

「現在の居住地から離れているため管理が困難」などの理由で、相続した不動産を売却する相続人もいます。

また特定の相続人が不動産を相続すると、遺産分割で著しい不公平が生じるときは「換価分割」をし、不動産を売却して現金化したうえで分割することもあります。

亡くなった人が残した不動産をできるだけ高値で売却するためには、不動産売却の専門家に協力を依頼するのが一般的です。

不動産を相続したときの主な相談窓口

不動産 相続 相談

続いて不動産を相続したときの主な相談先をみていきましょう。

遺産分割協議は「弁護士」

遺産分割協議の内容がまとまらないときや、協議でトラブルに発展する可能性がある時は弁護士に相談すると良いでしょう。

また相続財産の調査や遺産分割協議書の作成なども、弁護士に相談することが可能です。

不動産の名義変更は「司法書士」または「法務局」

相続した不動産の名義変更手続きについては、司法書士が主な相談先です。
報酬を支払うことで、相続登記に必要な書類の作成や登記手続きなどを依頼できます。

ご自身で相続登記をする場合は、法務局に相談するのがおすすめです。

相続税は「税理士」

相続税の計算や申告・納税の手続きは、税理士に相談すると良いでしょう。
相続税専門の税理士に依頼することで、相続税の申告期限までに申告と納税の手続きが適切にできるようになります。

また税理士に相談すると、合法的な範囲で相続税の負担を軽減できる方法をアドバイスしてもらえることもあります。

不動産売却は「不動産会社」

相続した不動産を売却するときは、不動産会社に価値を査定してもらって、いくらで売れるのかを確認するのが一般的です。

複数の不動産会社に査定を依頼し、査定結果と売却までの戦略を聞き比べて信頼できる不動産会社を選びましょう。

不動産売却が得意な不動産会社を見つけることができれば、売却期間や売却価格の希望が叶いやすくなります。

不動産相続の相談料はいくら?

不動産 相続 相談

不動産相続の相談をすると、いくらの費用がかかるのでしょうか。
相談費用の目安や無料となるケースをみていきましょう。

相談先によって相場は異なる

弁護士や税理士、司法書士などに相談をしたときの費用は、30分〜1時間あたり5,000〜10,000円が目安です。
相談する専門家や事務所などで相談費用は異なるため、事前に確認しておきましょう。

また専門家に書類の作成や手続きなどを依頼した場合は、追加で費用がかかるのが一般的です。

例えば司法書士に相続登記の手続きを依頼したときは、登録免許税とは別に5万〜15万円ほどの報酬を支払う必要があります。

相続登記における登録免許税は「不動産の価額×0.4%」です。
不動産の価額とは、基本的に市区町村が管理する固定資産課税台帳に記載された金額のことを指します。

無料で相談することも可能

弁護士や税理士などは、初回の相談を無料にしているケースが少なくありません。
また弁護士や税理士などが会員となって構成された団体(弁護士会・税理士会)が、無料相談を実施している場合もあります。

不動産会社に査定を依頼したり売却について相談したりしたときは、基本的に費用はかかりません。
ただし不動産会社が見つけた買主と売買契約を結ぶことになったときは、成功報酬として仲介手数料を支払います。

不動産を相続したときの失敗を防ぐポイント

不動産 相続 相談

最後に不動産を相続するときの失敗を防ぐためのポイントを3つご紹介します。

遺言書の有無を必ず確認する

相続が発生したときは、亡くなった人が作成した遺言書の有無を優先して確認しましょう。

亡くなった人が遺言書を残していた場合、基本的にはその記載内容に沿って遺産が引き継がれます。

相続人全員の合意があれば、遺言書があったとしても遺産分割協議で遺産の引き継ぎ方を決めることが可能です。
しかし反対する相続人が1人でもいると、遺言書の記載内容が優先されます。

遺言書の存在は、相続人の遺産分割に大きく影響します。
また弁護士に遺産の分割方法を相談する際、遺言書の有無は必ず聞かれるため、相続が発生したときは遺言書の存在を忘れずに確認しましょう。

遺産をすべて調べる

遺産のすべてを把握していなければ、遺産の分割や相続税の申告・納税などが正確に行えません。

そのため相続が発生したときは、亡くなった人の預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借入金や未払金などの債務もすべて調べ、それらを適切に評価しましょう。

相続人を漏れなく把握する

相続人になる資格がある人(法定相続人)は、民法で定められています。
また法定相続人の数によって相続税の基礎控除額が変わります。

法定相続人の人数を誤ると、正しく遺産分割ができないばかりか、相続税の計算も誤ってしまいかねません。

そのため相続が開始されたときは、誰が相続人になるのかを正確に調べましょう。

亡くなった人の配偶者は、必ず相続人となります。
配偶者以外の相続人は、以下の優先順位にしたがって決まります。

  • 第1順位:亡くなった人の子ども
  • 第2順位:亡くなった人の父母や祖父母などの直系尊属
  • 第3順位:亡くなった人の兄弟姉妹

先の順位に該当する人がいる場合、あとの順位の人は相続人にはなれません。
ただし被相続人の子どもが相続の開始時点で亡くなっていた場合、子ども(被相続人から見た孫)がいれば、その人が代襲相続をします。

相続が発生したときは、被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本を速やかに取得し、相続人を確定しましょう。

不動産の共有は避ける

ひとつの不動産を複数の相続人が共有名義で相続すると、共有者の意見が合わずトラブルに発展してしまうことがあります。

例えば共有名義の不動産を売却する場合、共有者全員の同意が必要です。
反対する共有者が1人でもいると不動産を売却できません。

共有名義の不動産を売却しようとしても、反対する共有者がいることで家族が仲違いしてしまう可能性があります。

そのため、不動産を共有名義で相続するのは避けた方が賢明でしょう。

【まとめ】不動産相続時の相談先は解決したい悩みに応じて選ぶ

不動産を相続したときの相談先は、解決したい問題や悩みなどで異なります。
不動産相続における相談先の例は、以下のとおりです。

  • 不動産売却:不動産会社
  • 不動産の名義変更(相続登記):司法書士または法務局
  • 遺産分割協議:弁護士
  • 相続税の計算・申告・納税:税理士

相談先や依頼の内容によっては費用がかかることがあります。
できるだけ費用を抑えたいのであれば、弁護士会や税理士会などが実施する無料相談も利用すると良いでしょう。

一方で、不動産の査定に費用はかかりません。
相続した不動産を売却するときは、 複数の不動産会社に査定を依頼し、信頼できる不動産会社を探すことが大切です。
(執筆者:品木彰)

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