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住宅ローン控除とふるさと納税の併用は可能!ただし申請方法や控除額に注意

住宅ローン控除とふるさと納税は、どちらも税金の控除を受けられるお得な制度です。
節税に大いに役立つため、多くの方が利用しています。

2つの減税制度は併用可能ですが、併用する場合は手続きの方法や控除額に注意が必要です。
この記事では、住宅ローン控除とふるさと納税併用時の手続きと注意点を紹介します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長
石岡 靖雅(いしおか やすまさ)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、家族信託コーディネーター、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

減税・節税につながる「住宅ローン控除」と「ふるさと納税」

住宅ローン控除 ふるさと納税

住宅ローン控除とふるさと納税は、どちらも賢く利用することで節税効果を発揮します。
そもそもこの2つはどのような制度なのでしょうか。

住宅ローン控除とは

住宅ローン控除は、家の購入や改築の資金として住宅ローンを利用した場合に受けられる減税制度です。
年末の住宅ローン残高に応じ、毎年一定額を所得税と一部住民税から控除可能です。
税額控除を受けられる期間は、住宅の居住開始日に応じて以下のように異なります。

【2011年以降に居住を開始】
年末残高の1%(居住開始年に応じ20万円から40万円が上限)が、10年間控除されます。

【一定の条件を満たし2019年10月から2022年12月までに居住開始】
以下の税額控除を13年間受けられます。

1年目から10年目
  • 年末残高の1%(上限40万円)
11年目から13年目
  • 年末残高の1%(上限40万円)
  • 建物の購入価格の2%(上限80万円)÷3

上記いずれか少ない方の金額

控除額を所得税から控除しきれなかった場合、上限つきで住民税からも控除されます。
住宅ローン控除については、こちらの記事でも解説しています。

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住宅ローン控除 いつまで

ふるさと納税とは

ふるさと納税は、自分が応援したい地方自治体に寄付を行うことで、所得税と住民税の控除を、寄付した額から2,000円引いた金額分受けられる制度です。

寄付をすると、寄付額に応じて各自治体の設定した返礼品が、実質2,000円の負担で手に入ります。
返礼品は食品や工芸品といった自治体の特産品、サービスなどです。
住宅ローン控除と違い納税額が直接安くなるわけではありませんが、上手に利用することで食費や生活費、娯楽費などの節約に繋がります。

なおふるさと納税は、寄付する年の所得に応じて上限が設定されているため注意しましょう。

住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?

住宅ローン控除 ふるさと納税

住宅ローン控除とふるさと納税は併用可能ですが、手続きの方法によって控除額が変わる場合があるため注意が必要です。

併用時のポイントを紹介します。

ワンストップ特例制度を利用する場合

ワンストップ特例制度とは、サラリーマンなど普段確定申告を行わない人が、確定申告の手続きを省略して税額控除を受けるための制度です。
ワンストップ特例制度を利用する流れは以下のとおりです。

  1. 各自治体に寄付を行う
  2. 返礼品を受け取る
  3. 自治体へ「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を請求
    (上記書類を配布しているふるさと納税サイトもあります)
  4. 申請書を記入し寄付先の自治体へ送付

ワンストップ特例制度を利用できるのは5つの自治体までです。
6つ以上の自治体に寄付をする場合は、確定申告が必要なのでご注意ください。

また寄付した年の税額控除を受けるためには、寄付した翌年の1月10日までに申請書が届いていなければなりません。
年末にふるさと納税をしたなどのケースでは、ワンストップ特例制度の申請期限に注意しましょう。

1年目はワンストップ特例制度が利用できない

非常に便利なワンストップ特例制度ですが、住宅ローン控除と併用するケースでは、1年目は利用できません。
初年度はサラリーマンであっても、住宅ローン控除とふるさと納税の確定申告を行います。

住宅ローン控除の1年目のほか、サラリーマンでも副業の所得が一定以上あり、確定申告が必要な場合もワンストップ特例制度を利用できないので注意しましょう。

確定申告を行う場合

確定申告でふるさと納税の申告を行う場合、寄付から申告までの流れは以下のとおりです。

  1. 任意の自治体へ寄付を行う
  2. 返礼品と寄付金受領証明書を受け取る
  3. 確定申告の際にふるさと納税の寄付額を申告する

確定申告は、例年3月15日までに手続きを完了する必要があります(2021年は4月15日まで)。
期限までに忘れずに申告しましょう。

控除額が減る可能性もある

ふるさと納税と住宅ローン控除を確定申告で行う場合、控除額が減少することがあります。
これは、ふるさと納税と住宅ローン控除の算出方法が原因です。

ふるさと納税と住宅ローン控除を併用する際、控除額の計算は以下の順に行います。

  1. ふるさと納税の寄付額が課税総所得から控除される
  2. 控除後の所得から住民税と所得税が算出される

確定申告では、「所得税の金額+住民税の控除上限」を住宅ローン控除の金額の上限としています。
住宅ローン控除の金額が控除可能な額を超過している場合、超過分は控除しきれないことになります。
ふるさと納税によって課税総所得が減少する分、控除できる上限が低くなるのです。

ワンストップ特例制度を利用する場合は、ふるさと納税の控除額は全額住民税から控除されます。
そのため、住宅ローン控除の控除額に影響はありません。

ふるさと納税は控除の上限に注意!

住宅ローン控除 ふるさと納税

ふるさと納税は、寄付額から2,000円を除いた金額が控除されます。
ただし、所得に応じて控除に上限が設けられています。

例えば給与所得者の場合、所得別の控除上限額の目安は以下のとおりです。
※2021年3月現在の基準です。
※寄付者の所得状況に応じて控除額は変動します。

給与収入額 配偶者の扶養あり 配偶者の扶養なし(未婚)
200万 15,300円 6,900円
300万 28,200円 19,900円
400万 33,800円 42,100円
500万 49,700円 61,000円
600万 69,000円 77,300円
700万 86,300円 108,200円
800万 120,200円 129,700円

寄付した金額が控除の上限を超過している場合、超過分は控除を受けられず自己負担になる点に注意しましょう。

まとめ

住宅ローン控除とふるさと納税は、税額控除を受けられる制度です。
節税や支出の削減に繋がるため、賢く利用しましょう。

この2つの制度は併用可能で「ワンストップ特例制度」「確定申告」のいずれかで申告します。
ただし確定申告する場合は、控除額が減る可能性があることが注意点です。
またワンストップ特例制度と確定申告は、必要書類や申請期限が異なります。

自分の場合はどのような手続きになるのか、いつまでに準備が必要なのか、あらかじめ確認しておきましょう。
(執筆者:いちはらまきを)

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