中古マンションを購入してリフォームをすれば、予算内で理想のマイホームを手に入れられる可能性が高まるでしょう。
一方で建物の構造や管理規約などを確認してマンションを選ばなければ、希望通りのリフォームができないこともあります。
本記事では、中古マンションを購入してリフォームをするメリットやデメリット、注意点などをわかりやすく解説します。

遠鉄の不動産・浜松ブロック長 江間 和彦(えま かずひこ)
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士
中古マンションの購入時にリフォームをする3つのメリット
中古マンションを購入してリフォームするメリットは、以下の3点です。
- 新築よりも安価で理想の住まいが手に入る
- 物件の選択肢が増える
- 家族や自分自身が暮らしやすい間取りにできる
新築よりも安価で理想の住まいが手に入る
新築マンションを購入するよりも、中古マンションを購入してリフォームをしたほうがコストを抑えられる可能性があります。
「マンションを購入したいけれども、新築には手が出ない」という方は、中古マンションを購入してリフォームするのがおすすめです。
物件の選択肢が増える
駅近のエリアにはすでにマンションが建っているため、新築マンションに絞って検討すると選択肢が狭まってしまいます。
たとえ希望通りの立地に新築マンションがあっても、予算をオーバーしてしまうかもしれません。
そこで中古マンションを選択肢に含めることで、希望する立地やエリアに予算内で購入できる物件が見つかりやすくなるでしょう。
家族や自分自身が暮らしやすい間取りにできる
マンションの構造によっては、間仕切りの壁を取り壊して間取りを変更できます。
例えば小さな子どもがいる場合、死角がない間取りにすることで、子どもが常に視界に入るようなお部屋にできます。
リフォームやリノベーションをすることで、ご自身や家族が暮らしやすい理想のマイホームを手に入れやすくなるでしょう。
中古マンションの購入時にリフォームをする3つのデメリット
中古マンションを購入してリフォームするデメリットは、以下の3点です。
- 住み始めるまでに時間がかかる
- 共用部分は工事できない
- 希望通りに工事ができるとは限らない
住み始めるまでに時間がかかる
中古マンションをリフォームする場合、工事が完了するまで入居できません。
工事の内容次第では、マンションの購入から入居までに半年以上かかることもあるため、仮住まいでの生活が必要になる場合もあります。
共用部分は工事できない
リフォームやリノベーションができるのは、原則としてお部屋の内部である「占有部分」のみであり「共用部分」は、工事できません。
マンションの外壁や屋根、廊下だけでなく、お部屋のドアや窓なども共用部分です。
リフォームを前提に中古マンションを購入する場合は、どこまでが専有部分なのかを確認しておくことが大切です。
希望通りに工事ができるとは限らない
たとえ専有部分であっても、自由に工事できるわけではありません。
例えばキッチンやバスルームなどの水回り設備は、移動できる範囲が大きく制限されるのが一般的です。
またマンションの内部がコンクリートの壁で仕切られた「壁構造」である場合は、間取りの変更が困難となります。
中古マンションを選ぶ際に工事の制限を確認していなければ、希望通りのお部屋にできない可能性があるのです。
中古マンション購入時のリフォーム費用の相場
リフォーム費用は、工事をする場所や使用する資材の種類・グレードなどで異なります。
一般的な費用相場は、以下のとおりです。
- キッチンの交換:150万~300万円前後
- 浴室の交換:100万~150万円前後
- トイレの交換:20万~40万円前後
- 洗面台の交換:20万~40万円前後
- 給湯器の交換:20万~30万円前後
- 和室を洋室に変更:50万~100万円前後
- 壁紙の張替え:50万円〜
- フローリングの上張り・張替え:60万〜100万円前後
- フルリフォーム(間取り変更なし):600万円〜
- フルリフォーム(間取り変更あり):1,000万円~
リフォーム工事の内容や費用は、マンションの築年数によって変わるのが一般的です。
例えばマンションが築20年以内であれば、損傷箇所の補修や給湯器の交換などが中心であり、費用は300万〜500万円程度で済むのが一般的です。
一方で築30年以上の物件では、フルリフォームをするケースが少なくありません。
すべての水回り設備の交換や壁紙の全面張り替えなどで、1,000万円以上の費用がかかることがあります。
中古マンションはどこまでリフォームできる?
リフォームやリノベーションを前提に中古マンションを購入するときは、どこまで工事できるのかを把握しておくことが大切です。
工事できる場所とできない場所
中古マンションでリフォーム工事ができるのは、基本的に専有部分のみです。
そのため「畳や壁紙を張り替える」「内窓を増やす」「コンセントを増やす・位置を変える」などの工事は実施できます。
また壁や天井に断熱材を充填して、断熱性能を上げることも可能です。
一方で共用部分は工事できないため「玄関のドアやサッシの変更」「給排水管やガス配管の移動」「耐震性能の向上」などは実施できません。
工事が制限される場所
キッチンやトイレ、バスルームなどの水回り設備は、工事が制限されます。
例えば床材のすぐ下がコンクリートの躯体である「直床」である場合、水回り設備を移動させるのは困難です。
間取りを変更できるのは、マンションの構造が間仕切りの壁を取り外せる「ラーメン構造」である場合です。
「壁構造」のマンションは、間仕切りの壁が建物を支えている役割を担っており取り外せないため、基本的に間取りは変更できません。
マンションの管理規約で工事が制限される場合も
マンションの管理規約には、リフォーム工事をする際の注意点やルールなどが詳細に記載されているのが一般的です。
例えば、管理規約で床材の変更が禁止されていることがあります。
また資材の搬入ルートや工事が可能な時間などが記載されているため、中古マンションを購入するときは必ず管理規約を確認しましょう。
中古マンションをリフォームするときに知っておくべきポイント
最後に、中古マンションを購入してリフォームするときに把握しておくと良いポイントを4点紹介します。
リフォーム工事の優先順位と予算を考えておく
リフォーム工事のプランを考えるときは、工事の優先順位を考えることが大切です。
優先順位を考えておかないと、あれもこれもと費用が膨らんでいき予算を大幅に超えてしまう恐れがあります。
予算がオーバーしてしまうと、貯蓄を大きく減らし、病気での入院や子どもの進学などのタイミングで資金が不足するかもしれません。
費用をローンで賄う場合、返済負担が家計を圧迫して生活が苦しくなる恐れがあります。
中古マンションを購入してリフォームをするときは、工事の優先順位を決め、事前に決めた予算を超えないようにしましょう。
物件はリフォームできない箇所に注目して選ぶ
どれだけ資金を準備しても、マンションの「立地」は購入後に変更できません。
駅からの距離や周辺にある施設などを確認し、ご自身や家族が生活しやすいマンションを選ぶことが大切です。
またキッチンやトイレなどの水回りは、交換はできても移動は難しいケースがほとんどであるため、場所や位置が問題ないか確認しておきましょう。
リフォーム工事をする場合の手順を把握する
中古マンションをリフォームする際は、工事の手順や入居できるまでの期間を確認し、スケジュールを立てることが大切です。
先に中古マンションを購入する場合、一般的なリフォーム工事の流れは以下のとおりです。
- 管理規約を確認する
- リフォーム店に相談する
- リフォーム店の担当者による現地調査
- 工事のプランニング・費用の見積もり
- 工事契約
- 着工
- 工事終了・引き渡し
工事の期間は、キッチンをはじめとした設備の交換のみである場合は数日で済みますが、フルリフォームの場合は半年ほどかかることもあります。
なおリフォーム工事は、工期が延びてしまうケースが少なくありません。
着工後は定期的にお部屋の状況を見に行き、工事が予定通りに進んでいるかを確認すると良いでしょう。
リフォーム費用を住宅ローンで調達できない場合がある
リフォーム費用は、工事内容によっては数百万円かかるためローンを組んで資金を調達する方は少なくありません。
ローンの選択肢には、リフォーム費用を融資してくれる「リフォームローン」の他にも、マンション購入時の住宅ローンに含められる場合もあります。
住宅ローンは、リフォームローンよりも金利が低いため、返済負担を抑えられる可能性があります。
しかしマンションの担保価値が低い場合や、リフォーム費用があまりにも高額である場合、住宅ローンにリフォーム費用を含められないことがあるのです。
中古マンションを購入しリフォーム工事をするときも、新築マンションや戸建て住宅を購入するときと同様に、不動産会社や銀行に相談して慎重に資金計画を立てることが大切です。
【まとめ】中古マンションを購入してリフォームするのも選択肢の1つ
中古マンションを購入してリフォームをすることで、新築マンションよりも取得コストを抑えられる可能性があります。
立地が良いマンションの選択肢を増やせる点や、希望する間取りに変更できる可能性がある点もメリットでしょう。
ただしマンションの構造や管理規約によっては、希望通りに工事できない場合があります。
リフォームをするのであれば、不動産会社にも相談のうえ希望通りの工事ができるマンションを選ぶことが大切です。
(執筆者:品木彰)