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任意売却の相談先は不動産会社?銀行?交渉成功の秘訣や失敗しないためのポイントを解説

住宅ローンの返済が滞ったままだと、やがて競売が開始され強制的に自宅が売却されてしまいます。
競売を回避するには、任意売却を選択するという方法があります。
任意売却で失敗しないためにはどのような相談先を選べばよいのでしょうか?

この記事では任意売却の相談先の選び方について、失敗しないためのポイントを解説します。

遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)


宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級

任意売却の相談先は?

任意売却は競売と比べてメリットが大きいといわれますが、任意売却を成功させるためには、銀行・金融機関など債権者と話を進める交渉力や、任意売却に関する専門知識が必要となります。
そのため個人で任意売却を進めることは一般的に困難です。

任意売却を成功させるためにはパートナーとなってくれる相談先が必要となります。
ここからは任意売却の相談先としての「不動産会社」「銀行・金融機関」「弁護士」、それぞれの特徴について解説します。

不動産会社に相談

住宅ローンを利用して自宅を購入すると、自宅に抵当権が設定されます。
抵当権が付着した状態で自宅を売却することは、原則できません。

しかし抵当権者である銀行や金融機関など債権者の承認を得ることで、抵当権の抹消を可能にするのが任意売却です。

任意売却の一番の目的は住宅をできる限り高く売却して、住宅ローンの返済に充当することです。
そのため任意売却の相談先は、不動産売買のプロである不動産会社を選択することをおすすめします。

しかし任意売却には交渉力や専門知識が必要となることから、不動産会社であればどこでもよいという訳ではありません。
任意売却を相談する不動産会社の選び方については、後ほど解説します。

借入先の銀行・金融機関に相談

住宅ローンによる融資を行った銀行・金融機関にとって最も望ましいことは、完済まで返済を続けてくれることです。
このため住宅ローンの返済ができなくなったことで、借入先の銀行・金融機関に任意売却の相談に行くと、まずはローンの借り換え、返済計画の見直しなど、返済を続ける方法を模索するケースが多くなります。

それでも返済を続けることが難しいようであれば、任意売却の検討に進みます。
このとき銀行・金融機関は任意売却を行う不動産会社を指定することがあります。

また原則として任意売却を認めない、積極的でない銀行・金融機関もあります。
このような場合には、任意売却の専門知識をもった不動産会社と一緒に、銀行・金融機関と交渉する必要があります。

弁護士に相談

任意売却には法律の専門知識や、銀行や金融機関との交渉が必要になります。
その点において弁護士は、任意売却の相談先としても心強いでしょう。

しかし任意売却の目的は「不動産の売却」であることを考えると、弁護士が相談先として常に最適であるとは言い難い部分もあります。

弁護士であっても不動産売買の実務については詳しいとは限らず、売買に関しては提携先の不動産会社に依頼することが一般的です。
弁護士報酬、仲介手数料などで費用が高額になるという点にも注意が必要です。

任意売却を相談する不動産会社の選び方

任意売却の相談先として不動産会社をおすすめしましたが、任意売却のことをよく理解している不動産会社を選ばなければいけません。
ここからは任意売却を相談する不動産会社の選び方のポイントを説明します。

任意売却の実績が豊富か

任意売却で失敗しないためには、不動産売買だけでなく、任意売却の知識や経験を有している不動産会社を選ぶことが大切です。

任意売却では債務者の状況や要望を把握した上で、銀行・金融機関などの債権者との交渉が重要です。
さらに住民税や固定資産税などの滞納があれば、役所との交渉や調整が必要になりますが、常にスムーズに進む訳ではありません。

任意売却に協力的でない債権者と交渉し、任意売却を行うことについて承諾を得なければならないような局面もあります。

また任意売却では売却代金を住宅ローンの返済に充てることになるので、債権者が猶予を与えた期間内で売却完了しなければいけません。

さらに競売手続きが開始された住宅の場合は、競売によって落札者が決定する日(開札期日)の前日までが任意売却可能な期限として設定されていることが一般的です。
この日までに売却を完了させるために、時間を一切無駄にできないケースもあります。

豊富な実績に裏打ちされたノウハウを持つ不動産会社であれば、あらゆる局面への柔軟な対応が期待できます。
時間の制約を意識した交渉、売却活動が期待できるので、任意売却の成功率も高くなるでしょう。

残債務処理の知識があるか

任意売却を行うためには銀行・金融機関など債権者の承諾が必要となります。
この承諾は抵当権を抹消することについての承諾であって、任意売却による返済をもって債務を免除するという承諾ではありません。

したがって任意売却による返済後に残った債務については、返済を続ける必要があります。
任意売却を選択した人は、住宅ローンの返済が困難な方です。

多くの場合、任意売却後であっても金銭的な余裕がないことは、債権者も承知しています。
そこで残債務の返済について債権者と返済計画を交渉する必要があります。

残債務処理の知識を持った不動産会社であれば、債務者側に立って交渉に臨んでくれます。
任意売却を行う不動産会社に、債務処理の扱いについて知識があるかどうかは、任意売却後の生活に大きな影響を与えることになるでしょう。

関連する法律の知識があるか

任意売却では、通常の不動産売買に必要な宅地建物取引業法、民法、税法などのほか、破産法、民事再生法、民事執行法などの知識が必要となります。

これらの法律に基づいた適切な売却活動、債務者へのアドバイスができる不動産会社を相談先として選ぶことが、任意売却を成功させるためのポイントです。

任意売却後のサポートがしっかりしているか

任意売却の後にも、売主の生活は続きます。
任意売却後のサポートが手厚い不動産会社が相談先であれば、再スタートがしやすくなるでしょう。

任意売却によって自宅を売却したら、リースバックなどの特殊なケースを除いて引越しをしなければいけません。
金銭的な余裕がないなかでの引越費用の捻出は厳しいですが、任意売却であれば引越費用を売却金額のなかから支出できるケースもあります。

ただしこれは債権者との交渉次第です。
交渉能力が高く、サポートがしっかりしている不動産会社を選ぶと、費用捻出の可能性が高くなります。
またサポートの手厚い不動産会社であれば、債務者の収入、残債務の返済状況を勘案したおすすめの引越し先を紹介してくれることもあります。

任意売却の流れ

任意売却は次のような流れで進みます。

  1. 不動産会社の選定
  2. 不動産会社と打合せ・不動産査定
  3. 不動産会社と専任媒介契約を結ぶ
  4. 債権者へ連絡(任意売却の交渉・同意)
  5. 販売活動を開始
  6. 買主と売買契約を結ぶ
  7. 残債支払い方法の交渉
  8. 決済・物件の引き渡し

上記のように任意売却では、限られた時間のなかで、債権者や買主とさまざまな交渉を行う必要があります。
任意売却をスムーズに進めるために、任意売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶことが大切です。

任意売却の流れについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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任意売却のメリット

任意売却のメリットとしては、次の4点が挙げられます。

①競売よりも高く売れる

競売では低廉な金額で売却されてしまいますが、任意売却であれば市場価格に近い金額で売却ができる可能性があります。

②計画的に売却を進められる

競売ではスケジュールなど裁判所の決定に従うことになりますが、任意売却であればさまざまな点で交渉の余地があります。

③費用の持ち出しが不要

任意売却であれば、仲介手数料などの諸経費が売却代金から支払うことが可能です。引越し費用、税金や管理費などの滞納分も、債権者との交渉によって売却代金から賄うことができるケースもあります。

④プライバシーが守られる

競売では物件情報が公開されるため、住宅ローン滞納などの事実が周囲に知られる可能性があります。
任意売却であれば通常の売却活動と変わらないため、個人的な事情が周囲に知れ渡る可能性も低いでしょう。

以上のように競売による強制売却と比べ、任意売却には多くのメリットがあります。

任意売却のメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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まとめ

任意売却には、不動産売買の知識だけでなく、任意売却に関連する法律的な専門知識、債権者等関係者との交渉が重要です。
そのため相談先の選定次第で、任意売却の成否だけでなく、任意売却後の生活も左右されることになります。

任意売却には住宅ローンや法律などもかかわってきますが、主たる目的は「不動産のスムーズな売却」です。

まずは不動産会社に相談することをおすすめします。
ただし任意売却に不慣れな不動産会社では、任意売却のメリットが受けられないだけでなく、売却がスムーズに進まないことで競売が実行されてしまうことにもなりかねません。

任意売却の相談先には、任意売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶことが大切です。

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