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中古マンションは住宅ローンを組んで買える?審査や住宅ローン控除も解説

中古マンションを購入するときも、新築マンションと同様に住宅ローンを組めます。
ただし返済期間や借入金額に制限が設けられたり、審査に通過しにくくなったりすることがある点には注意が必要です。

本記事では、中古マンション購入時の住宅ローンについて、借入額に含められるものや、返済期間と借入金額が制限されるケースなどを解説します。

遠鉄の不動産・中遠売買ブロック長 岸本 圭祐(きしもと けいすけ)


宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、カラーコーディネーター、ファイナンシャルプランナー3級

築年数が古い中古マンションでも住宅ローンを組める

中古マンション ローン

築年数が経っている中古マンションも、新築マンションや築浅のマンションと同様に、住宅ローンを組んで購入できます。
購入対象が中古マンションであるという理由のみで、ローンの金利が高くなる心配はありません。

リフォーム費用や諸費用まで借入できる場合がある

中古マンションの購入とあわせてリフォームやリノベーションをする場合、工事費用を借入額に含めて住宅ローンを組める場合があります。

また金融機関によっては、仲介手数料をはじめとした購入時の諸経費も含めた借り入れが可能です。

手付金を含めた借り入れはできない

手付金は、中古マンションの売買契約を結ぶとき買主が売主に対して支払う金銭です。
売買契約を結んだあと、買主の都合で契約をキャンセルする場合、売主に支払った手付金は戻ってきません。

手付金は、売買契約時に現金(または銀行振込)で支払うのが一般的です。
そのため住宅ローンの借入額に手付金額を含めることはできません。

中古マンションの住宅ローンは築年数による制限がある

中古マンション ローン

金融機関によっては、中古マンションを購入するために住宅ローンを組む場合、返済期間や借入金額が制限されることがあります。

返済期間の制限

マンションのような鉄骨鉄筋コンクリート造の建物は、法定耐用年数(建物を使用できる期間として法律で定められた年数)が47年となっています。

住宅ローンの返済期間は、原則として35年ですが、一部の金融機関は法定耐用年数の残りを超える期間に設定できません。

例えば築30年の中古マンションを購入する場合、住宅ローンの返済期間が最長で17年(47年−30年)となる場合があります。

借入金額の制限

中古マンションを購入する場合、希望する金額の融資を受けられないことがあります。
物件の担保としての価値が、新築マンションよりも低い傾向にあるためです。

住宅ローンを借り入れた人が返済できなくなったとき、金融機関は担保であるマンションを差し押さえて競売にかけ、融資したお金の回収を試みます。

物件の担保価値が低いと、競売にかけても充分な売却金を得られず、金融機関は融資金を回収できないかもしれません。
そのため金融機関によっては、中古マンションを購入するときの融資額に制限を設けることがあるのです。

住宅ローン審査に通りにくい中古マンションの特徴

中古マンション ローン

中古マンションのなかでも、旧耐震基準の物件や再建築不可の物件、借地権の物件は、担保価値が低い傾向にあるため住宅ローンの審査に通過できないことがあります。

旧耐震基準の物件

旧耐震基準とは、1981年(昭和56年)5月31日までに建築確認された物件に適用される耐震基準です。
1961年(昭和56年)6月1日以降に建築確認されたマンションは、新耐震基準が適用されており、旧耐震基準のマンションよりも耐震性能が高い傾向にあります。

金融機関によっては、耐震性能で劣る傾向にある旧耐震基準が適用されたマンションの担保価値を低く見積もることがあります。

再建築不可の物件

再建築不可物件は、解体して更地にしてしまうと、建て直しができなくなる建物です。
都市計画区域と準都市計画区域にあります。

都市計画区域と準都市計画区域では、土地の上に建物を建てる場合「接道義務」を満たさなければなりません。
接道義務とは、建物を建てるとき、原則として建築基準法が定める幅員4mの道路に、2m以上接しなければならない義務のことです。

「建物の敷地が建築基準法で定められた道路と接していない」「建物の敷地と建築基準法で定められた道路が接している幅が2m未満である」など、接道義務を満たせない土地の上にある建物は、解体してしまうと再建築できません。

借地権付きの物件

借地権は、 地代を払って地主から借りた土地の上に、建物を建てられる権利です。
他人から借りている土地は、自己所有の土地よりも担保評価が低くなる傾向にあります。

また住宅ローンを組んで借地権付き物件を購入するときは、原則として地主の許可を得なければなりません。

住宅ローンを組む際に必要となる費用

中古マンション ローン

住宅ローンを組むときは、手数料や保険料、税金などの支払いが発生します。
ここでは住宅ローンを組むときの諸費用をみていきましょう。

事務手数料

事務手数料は、住宅ローンを借り入れる金融機関に支払う手数料です。
数万円程度に設定する金融機関もあれば、融資金額の1〜2%程度に設定する金融機関もあります。

保証料

保証料とは、住宅ローンを返済できなくなったときに、残債を肩代わり(代位弁済)する保証会社に支払う手数料です。

保証料の金額は、住宅ローンを組む金融機関によって異なります。
またネット銀行で住宅ローンを組む場合、基本的に保証会社を利用しないため、保証料の支払いは発生しません。

団体信用生命保険料

団体信用生命保険は「住宅ローンを組んだ人が亡くなった」「所定の高度障害状態になった」といった場合に、ローン残高が0円となる保険です。

死亡と高度障害を保障する一般的な団信であれば、基本的に保険料は金融機関負担であるため、借り入れた人が負担する必要はありません。

ただし団信に特約を付けて保障を充実させるときは、金利に0.1〜0.3%を上乗せして保険料を支払うのが一般的です。

火災保険料

火災保険は、火災や落雷、風災(強風や突風などの災害)、水災(洪水・土砂崩れなどの災害)で、建物やその中にある家具・家電が負った損害を補償する保険です。
保険料は、建物の構造や所在地、補償内容、加入先の保険会社などで異なります。

ほとんどの金融機関は、火災保険への加入を住宅ローンの融資条件としているため、保険料の支払いが発生します。

印紙税

印紙税は、住宅ローンの契約時にかかる税金です。
ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)に、収入印紙を貼付して納めます。

印紙税の税額は、住宅ローンの契約書に記載された借入額に応じて決まります。
例えば借入額が3,000万円である場合、印紙税額は2万円です。

印紙税の税額については、国税庁のサイトをご確認ください。

中古マンションを購入したときの住宅ローン控除

中古マンション ローン

住宅ローン控除は、住宅ローンを組んでマイホームを購入する人が受けられる税の優遇制度です。
2022年1月〜2025年12月31日までに、購入したマイホームに入居する場合、年末時点の借入残高の0.7%が所得税と一部の住民税から控除されます。

控除が受けられる期間は、以下のとおり購入した中古マンションによって異なります。

  • 不動産会社の買取再販物件:13年
  • 売主が個人である物件:10年

住宅ローン控除は、2022年に改正されており、制度内容が変更されています。
詳しくは、以下の記事でご確認ください。

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住宅ローン控除 改正

新しい住宅ローン控除は築年数の要件が撤廃

2021年12月以前の住宅ローン控除には築年数の要件があり、鉄骨鉄筋コンクリートマンションをはじめとした耐火建築物は、築25年以内でなければ利用できませんでした。

改正後の住宅ローン控除では、築年数にかかわらず新耐震基準に適合していれば対象となります。
また昭和57年以降に建築されていれば、新耐震基準に適合した住宅とみなされるようになりました。

住宅ローン控除が使えないケース

住宅ローン控除を利用するためには、以下のような年間の合計所得金額や借入期間などの要件を満たす必要があります。

  • 新築または取得日より6か月以内に居住している
  • 各年の12月31日まで継続して居住している(死亡したときはその日まで)
  • 住宅ローン控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下
  • 登記簿に記載の床面積が50㎡以上ある
  • 床面積の1/2以上の部分が居住用である
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上である など

要件を満たさない場合、住宅ローンを組んで中古マンションを購入しても、住宅ローン控除は受けられません。
例えば返済期間が10年未満の住宅ローンを借りると、住宅ローン控除の対象外となります。

ただし改正後の住宅ローン控除は、2023年以前に建築確認を受けており、かつ購入する人の合計所得金額が1,000万円以下であれば、床面積40㎡以上でも対象となります。

【まとめ】中古マンション購入時は住宅ローンを活用しよう

金融機関によっては、購入時に支払う仲介手数料をはじめとした諸費用や、リフォーム費用なども住宅ローンの借入額に含められることがあります。
また要件に該当すれば、税の優遇制度である住宅ローン控除も対象です。

ただし金融機関ごとに、住宅ローンの借入条件や審査基準は異なります。
例えば築古の中古マンションを購入するとき、返済期間が長い住宅ローンを組めないことがあります。
そのため中古マンション購入を検討している方は、不動産会社に住宅ローンの借入先を相談すると良いでしょう。
(執筆者:品木 彰)

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