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不動産売却の相談は誰にする?ケース別の相談窓口を解説

  • 2020.06.04
  • 2022.06.14
  • 売る
不動産の売却は金額が大きく手続きも複雑なため「いったいどこに相談すれば?」と悩んでしまうこともあるでしょう。
この記事では、不動産の売却の悩みを相談する窓口について解説します。
売却活動だけではなく税金や財産分与の悩みなど、ケース別の相談窓口についてもご紹介します。

遠鉄の不動産・浜松北ブロック長
影山 裕紀(かげやま ひろき)


宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、ITパスポート

【ケース別】不動産売却の相談先はどこ?

不動産の売却については不動産会社に相談するのが一般的ですが、場合によっては個別の相談が必要なこともあります。

不動産売却・査定に関する総合的な相談は「不動産会社」へ

不動産の売却は査定に始まり、内覧の立ち合い、広告・宣伝などの売却活動、契約書の作成、代金決済や物件の引き渡しなど多くの手順があります。不動産会社は売却にかかわる全般をサポートしてくれます。不動産売却に関する心配事は、まず不動産会社に相談しましょう。

不動産会社に相談したうえで、税金や相続に関する悩みはそれぞれの専門家に相談することをおすすめします。

不動産売却の税金に関する相談は「税理士」や「税務署」へ

不動産売却に関する税金については、税理士や税務署に相談しましょう。
不動産を売却すると印紙税や登録免許税などの税金がかかります。なかでも注意したいのが「譲渡所得」にかかる税金です。

不動産売却により生じた利益は譲渡所得として計上され、所得額に応じた税金を納める必要があります。
特別控除の特例が使えることもありますが「取得費の計算が難しい」「どの特別控除が適用となるかわからない」という方もいるのではないでしょうか?

例えば所有年数が10年以上のマイホームを売却した場合「3,000万円の特別控除の特例」と「買換え(交換)の特例」のどちらか一方が適用可能です。

しかしどちらの特例を利用するべきか、自分で計算するのは難しいこともあります。譲渡により損失が出た場合でも、条件によっては年間所得と損益通算できますが、税金に詳しくない方が自分で判断するのは難しいでしょう。

税金に関しては税理士や税務署に相談し、自分の条件にあう対処法を提案してもらうことをおすすめします。

不動産売却の価値に関する相談は「不動産鑑定士」へ

売却予定の不動産の適正な価値を知りたいときは、不動産鑑定士に相談しましょう。

不動産鑑定士に相談すると、1か月ほどの時間をかけて不動産の価値を鑑定したうえで「不動産鑑定評価書」を作成してくれます。
不動産鑑定評価書は、公的な書類としても使用が可能なほど信用がある書類です。

ただし不動産鑑定士が鑑定した価格で、必ず売却できるわけではありません。
売却価格は、売主と買主の合意で決まるため、不動産鑑定士の鑑定価格はあくまで目安と考えましょう。

不動産売却の登記・測量に関する相談は「土地家屋調査士」へ

売却予定の不動産と隣地との境界が確定していない場合は、土地家屋調査士に相談しましょう。
土地家屋調査士に相談すると、境界を確定したうえで測量図を作成してくれます。

境界が確定していなくても、不動産は売却できますが、隣地の所有者とトラブルに発展しやすいので注意が必要です。

土地家屋調査士に依頼すると、隣地の所有者や市役所の担当者など、土地に接しているすべての所有者が立会ったうえで境界を確定してくれます。
そのため不動産の売却後に、境界に関するトラブルが発生しにくくなります。

不動産売却の登記・権利に関する相談は「司法書士」へ

住宅ローンを返済している途中の不動産を売却するときは、ローンを完済したうえで抵当権抹消登記をしなければなりません。
抵当権は、住宅ローンの契約者が返済を長期間にわたって滞らせたときに、金融機関が担保となっている不動産を差し押さえられる権利です。

抵当権抹消登記は自分自身でもできますが、法律や不動産の専門知識が必要となるため、司法書士に代行してもらうのが一般的です。
不動産売却時に抵当権抹消登記の手続きが必要なのであれば、司法書士に相談しましょう。

不動産の任意売却に関する相談は「金融機関」へ

任意売却とは、金融機関の承諾を得て住宅ローンが残っている不動産を売却することです。

住宅ローンの返済を長期間にわたって滞納すると、金融機関に不動産が差し押さえられて、最終的に競売にかけられます。

競売での売却代金は、相場の6〜7割程度といわれていますが、任意売却であれば相場と同程度の価格で売却が可能です。

なお任意売却を認めてもらうためには、金融機関と交渉する必要があります。
そのため、金融機関に直接出向くのではなく、事前に任意売却の実績が豊富な不動産会社に相談のうえ、担当者に同行してもらうのがおすすめです。

不動産売却後の確定申告に関する相談は「無料相談会」へ

譲渡所得に対する税金を支払う、もしくは譲渡損失の損益通算を行う場合は、確定申告が必要です。

確定申告では当年の利益(損益)について、翌年の2月16日~3月15日までに申請をします。
確定申告についての相談は非常に多く、毎年2月上旬に各自治体による無料相談会が実施されます。市役所や地域の公民館などに税理士が派遣され、個別での相談が可能です。

不動産売却後の確定申告は初めてという人は、ぜひ活用してみてください。

不動産売却後の確定申告について、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

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不動産売却に絡む相続や財産分与の相談は「弁護士」へ

不動産を売却する人のなかには、相続による遺産分割、離婚による財産分与がかかわるケースもあります。
相続や財産分与などの問題は弁護士へ相談しましょう。

不動産売却の売主は、不動産の所有者であることが原則です。
しかし所有者が亡くなってしまった場合は、複数の相続人の共有状態になることもあります。売却するためには共有者全員が合意する、または遺産分割協議を行い相続人を決定しなければいけません。

また離婚に伴い自宅を売却する場合は、財産分与の対象になることもあります。

財産分割や財産分与は、当事者間で合意ができていれば問題ありません。しかし話し合いがまとまらず揉めごとに発展した場合は、弁護士へ相談しましょう。

弁護士の相談料は時間制も多く報酬額はさまざまです。
できるだけ費用を抑えたい場合は、各都道府県の弁護士会が主宰する法律相談センターを利用するとよいでしょう。地域によっては電話無料相談などを実施しているところもあります。

不動産売却の相談は大手?地元企業?

不動産売却の相談をする際「どこの不動産会社がいいのだろう?」と悩んでしまうかもしれません。

不動産会社はたくさんありますが、おもに大手と地元密着型の2種類に分かれます。それぞれにメリットとデメリットがあるため、どちらがよいとは一概にはいえません。

大手不動産会社と地元の不動産会社の主な特徴は次のとおりです。

大手不動産会社 地元密着型の不動産会社
メリット ・ネットワークが広い
・広告力や認知度が高い
・情報量が豊富
・地元に精通している
・丁寧で親身な対応
デメリット ・営業マンが多忙
・地域特有の不動産情報に疎い
・大々的な宣伝力や認知度が低い
・経営規模がさまざま

会社の規模によるメリット・デメリットはあるものの、大切なことは「自分の売却物件の条件に合うか」と「営業担当者の力量」です。

不動産売却の相談をする前に!売却の流れを知ろう

不動産の売却には、次の5つのステップがあります。
事前に流れを把握しておけば、不動産売却に関する相談もしやすくなるでしょう。

ステップ1【不動産会社を選ぶ(媒介契約を結ぶ)】

不動産の売却でまず最初に行うことは、不動産会社選びです。
複数の会社にまとめて査定を依頼できる、便利な「一括査定サイト」などを利用するのもよいでしょう。

ステップ2【価格を決めて物件を売り出す】

不動産会社と契約を結んだら、売却価格を決めて売却活動に入ります。

ステップ3【買主の訪問、売買交渉を行う】

売却中の不動産を買いたいという人が現れたら、不動産会社を中心に売主と買主の双方が満足いくような条件交渉をしながら話を進めていきます。

ステップ4【売買契約を結ぶ】

売主と買主の双方が条件交渉に合意すれば、売買契約を締結します。
契約にまつわる複雑な事柄も、不動産会社がすべてサポートしてくれます。

ステップ5【物件を引き渡す】

滞りなく契約締結が済んだら、不動産を買主へ引き渡して売却完了です。

不動産売却の流れについて、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

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不動産売却にかかる費用

不動産を売却するときに支払う費用や手数料は、以下の通りです。

不動産の売却にかかる費用

  • 仲介手数料:売却の仲介を依頼する不動産会社に対して支払う成功報酬
  • 住宅ローン返済手数料:住宅ローンを一括返済する際に金融機関に支払う手数料
  • 土地境界確定測量の費用:土地家屋調査士に地積測量図や境界確認書を作成してもらう費用
  • その他調査・工事の費用:土地汚染調査費用や建物の解体費用など

仲介手数料は、法律で定められた上限額である「売却価格×3%+6万円(税別)」を超えない範囲で、不動産会社が自由に設定できます。

住宅ローンの返済手数料は、金融機関によって異なります。
金融機関によっては返済手数料がかからないこともあるため、よく確認しましょう。

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不動産売却で発生する税金

不動産を売却するときに支払う税金の種類は、以下の通りです。

不動産の売却にかかる税金

  • 印紙税:不動産の売買契約書に添付する収入印紙代
  • 登録免許税:抵当権抹消登記をする際に支払う税金
    ※登記を司法書士に依頼する場合、別途報酬を支払う必要がある
  • 所得税・住民税:不動産の売却によって譲渡所得が発生した場合に支払う税金

印紙税は、売買契約書に記載された売買価格に応じて税額が決まります。

抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
土地と建物の両方を売却するのであれば、登録免許税は2,000円となります。
また司法書士に登記を依頼するときは、数万〜10数万円程度の報酬もあわせて支払います。

所得税と住民税を納めるのは、不動産の売却によって利益(譲渡所得)が出たときです。
譲渡所得が発生したときは、確定申告をして税金を納めます。

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まとめ

不動産を売却したいと思ったら、まず不動産会社に相談することが最初の一歩です。
しかし税金のことや、相続・財産分与についてなど、不動産会社だけでは対応が難しいこともあります。
悩んだときは税理士や弁護士などの専門家にも相談をして、後悔のないスムーズな売却を目指しましょう。
(執筆者:茶谷利津子)

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